【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか116】10月(7)詐欺①
詐欺に遭った。最初に言っておくと、被害総額は2.35ユーロ、日本円で400円ぐらい。たとえノーサラリー・ノー年金の身であっても、あわわわ、いたたた、うわーどうしよう、という金額ではない。
ただ、今まで、自分は大丈夫、と思っていたので、ちょっとびっくりした。ショックというんでもない。こういうことってあるんだなあ、って、自分のことながら面白がってる感じ。実際、後から考えると、どうしてあんなアホなことをしてしまったのか、皆目分からない。自戒のために、恥を忍んで記録しておく。
私のFacebookのタイムラインには、住んでいるボルドーのイベント情報や観光案内が流れてくる。クイーンのフレディそっくりさんのコンサートがありますよとか、映画のロケにオペラ座が使われますよとか。
あるとき、その中で「ボルドー市交通局」の記事が流れてきた。いつもお世話になっているトラムの写真、見慣れたロゴ。「只今キャンペーン実施中、アンケートとクイズに答えて、先着400名様に半年間の無料乗車券プレゼント!」という。
えー、これ、いいじゃん。半年間だったら、ちょうど私の残りの滞在期間に使い切れるし。よしよし、まずはアンケートね。ここをクリック、と。ああ、英語なんだ、助かるわ。
ここから何度も何度も、何でそこで止めなかったかなというポイントがやってくる。アンケートは2,3問で、簡単すぎた。クイズも頭を使わないゲームで、しかも成功する確率が高い。実際には、絶対に成功するようにできているのだろう。
更に私は、んー?と気になって、そのFacebookページに「いいね!」している人の数を確かめもしたのだ。4人。4人ですよ、たったの。ここで怪しいと思わないわけがないでしょう。それなのに、えーっと、これはキャンペーンのために立ち上げたばっかりなのかな?きっとそうね、と自分に思い込ませてしまった。あああ、今にして思えば、明らかに正常性バイアスが掛かっている。
おめでとうございます!あなたはクイズに成功しましたので、無料乗車券をお送りします。ついては、住所、電話番号、メールアドレスを入力してください。ふむ、まあ、ここまではOK。
ただし、無料乗車券をお送りするための郵送料をご負担願います。以下に、カード情報を入力し、2.35ユーロ、お支払いください。
ここが、ポイント・オブ・ノーリターンでしたよね。なぜ私はあんなに簡単にカード情報を入力してしまったのか。夜、一人で寝室にいたのが良くなかった。無料という言葉に、少しでも節約できるなら、と思ってしまった、けちな根性。こんなん当てたんだよ!と娘と婿に言いたかった。いずれも、説得力のない言い訳である。
支払った後で、あれ?と思った。送金アプリに表示された支払先の名称に、何か違和感がある。大文字を使った文字列の後に、.com。ボルドー交通局に何も関係がない。検索を掛けると、サブスクリプション関係の業者がよく使う文字列らしい。待て待て、サブスクなんてした覚えはないぞ。
そして気づく。相手に連絡を取る手段がない。Facebookページは見つけられない。メールも何も連絡先がない。これはやられた、の、か、な…?