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韓国系マーケティングが鍵

アメリカの日本食レストランに、日本酒やビールの営業をかける場合、韓国系オーナーへの対応が非常に重要だ。

実際に店を訪問してみるとわかるが、アメリカの日本食レストランの半数は韓国系の経営だと思う。サンフランシスコやニューヨークのブルックリンなど、中国系オーナーの多い地域もあるが、全米で見ると、やはり圧倒的に韓国系が多い。逆に、日本人経営の店を探すのは至難の業だ。

これには理由がある。日本食レストランに対する需要はどんどん増えているが、アメリカにいる日本人は限られている。しかも、日本食が人気だからといって、異業種からレストラン経営に飛び込む日本人はまずいない。逆に、韓国系移民は人数も多く、ビジネスチャンスがあれば軽々と転職する。韓国で大学教授をしていた男性が、ロサンゼルスですしシェフをしているのを見たことがある。

そのため、韓国コミュニティーで認知された銘柄は強い。「若竹 鬼ころし」「くろさわ」などだ。当然、ソジュも酒メニューに入っている。

韓国系の店に営業するポイントは3つ:
①あらかじめ韓国語の資料を用意する、②韓国人セールスマンと一緒に回る、③簡単な挨拶、お礼は韓国語で。

アメリカ育ちの若い2代目はともかく、英語を話さない韓国人オーナーも多いので、商品パンフレット等の韓国版がないとコミニケーションが成り立たない。その上で、日本語も話せる韓国人セールスと同行していれば“鬼に金棒”だ。

韓国人の営業スタイルは、一緒にコーヒーを飲んだり、タバコを吸ったり、食事をしたりと、時間がかかる場合が多いが、商品そのものを売り込むよりも、信頼感の構築がビジネスの基本にあるからだと思う。その上で、「アニョハセヨ」「カムサハムニダ」などの簡単な挨拶、試飲用サンプル等が効果を発揮する。

もう1つ、試飲サンプルは惜しまず出そう。日本人は酒にこだわりはあるが、新しい商品の扱いには慎重だ。一方、韓国系は価格には厳しいが、酒は商材の1つと割り切っているので、売れると思えば躊躇せず買う。

ビジネスライクな韓国スタイルの経営が、アメリカの日本酒市場を後押ししている。


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