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冷え性のお話②

前回、冷え性の漢方治療の大まかな考え方を書きました。
今回は、実際によく使われる漢方薬をご紹介します。

カッコの中の数字は、医療用漢方製剤に記載されている番号です。

①末端型冷え性

血行を改善する薬、専門用語では瘀血(おけつ)を改善する駆瘀血薬という種類の方剤を使用します。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん:23番)

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん:25番)

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう:38番)

などがよく使われます。

当帰芍薬散と桂枝茯苓丸は瘀血の薬として有名ですが、当帰芍薬散より桂枝茯苓丸の方が、体力のある人に使用します。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、しもやけができるくらい末端が冷えやすい人に使用します。


②上熱下寒型冷え性

のぼせを改善しながら血行を良くするような種類の方剤を使用します。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう:15番)

加味逍遙散(かみしょうようさん:24番)

桃核承気湯(とうかくじょうきとう:61番)

温経湯(うんけいとう:106番)

などがよく使われます。

黄連解毒湯と加味逍遙散は若干似たような作用のある方剤ですが、黄連解毒湯の方が加味逍遙散より体力のある人に使用します。
桃核承気湯は便秘も伴っている場合に用います。
温経湯は、のぼせはそこまで強くなく、冷えの方が目立つことが多いです。しかし熱が昇っていることで唇が乾燥しやすかったりします。


③全身型冷え性

体全体を温める効果のある生薬(乾姜、附子など)を含む方剤を使用します。
(苓姜朮甘湯、八味地黄丸は下半身を温める力が強いです)

真武湯(しんぶとう:30番)

苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう:118番)

八味地黄丸(はちみじおうがん:7番)

などがよく使われます。

真武湯は全身の冷えに水分代謝異常(浮腫など)を伴っています。
苓姜朮甘湯は冷えと水分代謝異常で特に腰から下が冷えてダルくて重い時に用います。
八味地黄丸も全身の冷えを改善しますが特に足先が冷えたり夜間頻尿があったりする時に用います。


自分の冷えのパターンが把握できれば、大体どのようなジャンルの漢方薬を内服すれば良いのかがわかると思います。

また、現在薬局や病院で冷え性の漢方薬を処方されている場合は、上記分類から、自分がどういう風に診断されて処方されたのかが大まかに分かると思います。

漢方薬は、同じ薬でも違う症状に使うことがあります。逆に、違う病気に同じ薬を使うこともあります。
これはあくまでも冷えに使用する時の特徴のため、違う目的で処方されていることもありますので注意して下さい。


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