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五月病と漢方

ゴールデンウィークも終わり、1週間が経ちました。あぁ、明日も仕事か、だるいな、憂鬱だな、行きたくないな・・・そんな気分に悩まされていませんか。もしかしたら、それはいわゆる五月病かもしれません。

病院に行くほどではないけど、何となく毎日の生活がしんどい。このような状態には、漢方薬が非常に効果的です。

漢方薬は、同じ病名でもそれぞれの症状・体質によって使用する方剤が違います。自分に合った漢方薬を内服することで、長年悩まされていた症状がピタッと良くなるなんて日常茶飯事。自分の症状・体質をよく知ることが大切です。

憂鬱感がメインの場合

漢方では、気(体を巡るエネルギー)がうっ滞している状態(気鬱)と考えます。

①香蘇散(こうそさん)
ぼんやりした憂鬱感のときに良く効きます。なんとなく憂鬱で、なんとなく不安で、気持ちが晴れない。頭に帽子を被ったようにボーッとして重い。香蘇散が合う患者さんは、控えめで、声や文字が小さく、体力は比較的無い方です。薬が合うと、飲んだ瞬間に心がスっと軽くなることが多いようです。

②半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
香蘇散の合う患者さんと違い、具体的に憂鬱な内容や身体症状があったり、何か一つのことに固執してしまいがちで、積極的に自分の症状を訴えるような患者さんに良く効きます。喉に何かがひっかかっている感じ(梅核気)を訴えるときもこの方剤です。感冒などで実際に喉に痰が絡むときにも用います。

③四逆散(しぎゃくさん)
口数が少なく、緊張が強い感じの患者さんに良く効きます。どちらかと言うと男性に多い印象です。腹直筋がピンと張って力が入っており、脇腹につかえた感じがあります。肋骨の下をくぐらせるように手を入れて外側上方に向かって押すと苦しい感じがすることが多いです(胸脇苦満といいます)。

イライラ・不安がメインの場合

気が上に昇ってしまっている状態(気逆)と考えます。

①抑肝散(よくかんさん)
イライラする時の第一選択と言って良い薬です。四逆散を用いる患者さんにあった胸脇苦満が抑肝散の患者さんにもあります。元々は小児に使用されていた方剤で、赤ちゃんの夜泣きなんかにも使います。最近では、認知症の周辺症状(BPSD)への効果が認められています。まさに老若男女に使用されている方剤です。

②加味逍遙散(かみしょうようさん)
女性ホルモンの変動に伴って感情の起伏が激しいときに用います。例えば生理前後のイライラがあったり、更年期症状がある方には良く効きます。最近では、加味逍遙散に含まれる山梔子という生薬が、数年に渡って内服を続けると腸間膜静脈硬化症という疾患を誘発することがわかってきました。長期に内服している場合は注意し、症状が改善したらダラダラ続けずに内服を中止することが大切です。

③桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
不安感が著しい時に使います。動悸がしたり、不眠があったり、悪夢を見たりします。比較的体力の無い人に用いる方剤です。

④柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
桂枝加竜骨牡蠣湯に症状は似ていますが、もう少し体力がありガッシリしたタイプに用います。胸脇苦満もあります。

疲労感がメインの場合

気が不足している状態(気虚)と考えます。

①補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
やる気が出ない、疲れがとれない、食欲が無い、などの時に元気を補ってくれる方剤です。下がっているものを上に持ち上げる作用もあるため、内臓下垂、脱肛などにも用いられます。補中益気湯が効く患者さんには軽い胸脇苦満が見られることもあります。

②六君子湯(りっくんしとう)
食欲不振、吐き気などの消化器症状が強い時にはこちらを用います。水分代謝が悪く、消化吸収も悪いため、胃のあたりを軽く叩くとチャプチャプと水の音がします。


いかがでしょうか。ここに挙げた漢方薬以外にも使える方剤は沢山ありますが、これだけ知っていれば比較的対処できるのではないかと思います。

漢方で体調を改善する1番の方法は、漢方医のいる病院や漢方薬局で診てもらうことです。それが難しいときは、ぜひこのnoteを参考になさってみて下さい。


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