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手回し焙煎の話

皆さんこんにちは。季節の喫茶吉住の店主だった、稲毛ひろ美です。今年の8月に3年続けたお店を閉めて、現在は移転先を探している最中です。お客様はお久しぶりですね、初めましての方はどうぞ宜しくお願いします。

さて、久しぶりのnote更新です。
店を閉めてから焙煎をする機会が減ってしまいました。とは言え、自分や家族が飲む程度だったり、人に差し上げる程度の量で焙煎は続けています。
そんな中、うちによく通ってくれていたお客様から先日メールが届きました。

「オンラインショップはまだですか。豆が切れて困っています。」

…ええ、オンラインショップね。そう、やろうと準備はし始めたものの、移転先を探しながら色々準備をしていたら、これは中途半端になりそうだと思って、今は保留にしています。(ごめんなさい)
そんなわけで、このお客様に焙煎豆をお送りする約束をしました。おまかせでいくつか見繕ってお送りするという条件で。

これって、ものすごく有難いことなんですよね。信頼関係ができていないと成り立たないですよね。行きつけの飲食店へ行って、「大将、なんでもいいから美味しいもの出してよ」っていうのに似ている気がします。こういうやり取りができるお店って最高だと思うんです。


はい、前置きが長くなりましたが、私がやっている手回し焙煎ですが、とても地味で手づくり感溢れる感じです。恥ずかしいけど、写真つきで紹介したいと思います。


ユニオンサンプルロースターのパンチング(穴あき)タイプ。パンチングユーザーはかなり少数派みたいです。
パンチングなしタイプはこのドラムがつるんとしています。こちらの方が圧倒的にユーザー多数らしい。

まず使っている手回し焙煎機。ユニオンサンプルロースターパンチングタイプ。このドラムの中に生豆を入れて、写真左下に写っているハンドルを持って、ぐるぐる回します。火にかけている間はずーっと回し続けます。豆によるけど15分前後。止めることはできません。止まると豆が焦げるから。


他にいい方法が見つからない。板金やさんに頼めばこの囲い、作ってくれるのかな。

キッチンコンロで使う、油はねガードを使って囲っています。焼いていると、チャフと呼ばれる生豆の薄皮が沢山舞うのです。バーベキューのときに、炭から灰が出ますよね。あれにちょっと近い感じ。このガードがないと大変です。あとはできるだけ保温性を保ちたいからという理由もあります。これに関しては気分かもしれないけど、あるのとないのとじゃちょっと違う気がする。


焼き上がり直後。深煎りにしたので煙もすごいです。

ごめんなさい、焙煎中の写真はないです。なぜなら手がふさがりっぱなしなので、写真を撮る余裕はありません。右手でハンドルを回し、左手で豆の様子を専用スプーンを使ってチェック。また、左手でスマホのストップウォッチでタイムを計ります。焙煎で重要な1ハゼのタイム(豆がバチバチと音を立てる)、2ハゼのタイム(豆がパチパチと音を立てる)、焼き上がりのタイム。計3つのポイントを記録します。ハゼってなに?って思った方、調べてみてね。


ハンドピック後。真ん中の微妙に色が違う豆は欠点豆として取り除く。

焼き上がったら、ザルに上げてうちわで冷まします。その後にハンドピックという、欠点豆を取り除く作業をします。ちなみにハンドピックは、焙煎前の生豆の状態でも行います。(焙煎前の写真、撮るの忘れました。ごめんなさい!)

というのが焙煎の一連の流れです。ちなみに生豆は投入する時は400g、焼き上がりはだいたい20%くらい減ります。

よくある大きな焙煎機とはちがって、生産量は少なく、手間もかかります。あとは数字に頼ることがほとんどできないので、五感をフルに使います。温度計を使うやり方もあるけど、そうすると豆のチェックが目で見てできないので、私はやらないです。そういう点では、自分の感覚を大事にしないとできない焙煎かもしれません。

地味だけど、私はこの手回し焙煎が結構好きです。やればやるほどに手応えを感じるから。これはネルドリップにも共通して言える気がします。

ずいぶん長くなってしまいました。
やっぱりコーヒーって楽しいです。
今回も最後までお付き合いいただきどうもありがとうございました。

季節の喫茶 吉住 稲毛ひろ美


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