見出し画像

俗物の世界

起きて、徐ろに洗濯機を回す。
よく晴れた休日、数は多く時間はかかるし飛散するモノも半端なく多いけれど、気持ちの良い青空のもと天にかかる衣服は威勢よくはためき、その重さをあっという間に軽くしてゆく。

何もかもが浄化されてゆくような昼下がりに、毎年騒がれる作家さんの小説に出てくる人物であるかのような、人間くさいドロドロとした、そんな物語の中を生きていた。

──パートナーと欲望のままに抱き合い、近所の自然豊かな公園を散歩し、目的のものは得られずとも繁華街の小さなコスパよき居酒屋で楽しい食事を終え、帰りのバスに乗る──

私という人間は、何と俗っぽいのだろう。そんなふうに思ってしまう一日だった。
そして地味に見える私の環境は、意外とドラマチックなのかもしれない。

誰しもが、それぞれのストーリーの中で主人公を演じているのだ、いつも。

気持ちのよい週末だった。
それだけのことが、ただ愛おしい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?