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青と、私

高速船はしばらくして外洋へ出た。
目の前に広がる純粋な青色の海原、水平線を境にして広がる霞かかった空。吸い込まれそうな青に恐怖を覚えながらも目は離せない。
私はこの風景をいつまでも見ていられると、30年くらい前、数日かけて外洋を航行する船の上で感じた記憶を思い出す。

やはり私は海が好きだ。大好きだ。
けれど地に足をつかない生き方はできないと分かっている。こんなにも矛盾しているのに懐かしく思い、そして私は混乱する。
ヒトの太古の記憶か知らないが、不思議な感覚だ。

海に関わって生活したい、けれども陸でしか生きられない。
私がどこで生きるのか。今ここで生きている意味はなにか。

生活を変えるなんて思いもよらなかった。
とはいえ若い頃は勢いで生活を変えたことがあった。その頃は海と密接な関係にあったのも事実であり、幸せで楽しい記憶ばかりがよみがえってくる。

今の生活基盤が不快に感じることはたまにあって、それでもここに住むしかないから、不満など言えるわけなかった。それに今の生活にはそこそこ満足しており、幸せな生活を送れていると思う。
ただ、いつまでもこの家はここに在るのではなく、いずれ消える運命なのも知っている。ならば、真面目に自身の将来やどんな環境に身を置いておきたいかは真剣に悩んでみるべきだ。
違和感を抱いたまま生きていくにしては、私の寿命はもうちょっと先な気がする。

何処でどのように生きていきたい?
そんなことを考える─自分と向き合う─ときなのかもしれない。

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