老先生の矜持
ビギナーズナントカ・文庫『論語』つづき。
老先生一行がどこかの国を旅行中、つてがなく、食べ物に窮した時、古参の弟子の子路が老先生を詰めた。
「君子でも食べ物に困るのですか」
「ああ。ただ小人のように取り乱さない。」
苦しまぎれの言い訳みたいでなんだか微笑ましい。
宮城谷昌光『三国志』の序盤で、後漢の大儒である鄭玄が、弟子たちとともに、戦乱を避けて山に避難した時、餓えたが耕作などはせず、みんなでじっとしていたエピソードを思い出す。あくまで官吏・政治家候補学塾一行だからなのか。
孔子の時代から、後漢末は約800年ほど開きがあるが、古代ゆえにやはり主たる産業は農業だったはずで、孔子も貧しい農家の出身だったのだが、あなた方農業低く見ているよね?という疑問が浮かぶ。
しかし、士大夫たるもの…という容儀作りとしてそういう態度が、就職には必要だったのかもしれないが…よろず現場を否定して高い位を得るような輩は好きになれないな。そちらの方が老先生の言う小人に見えるよ。
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