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世田谷パブリックシアター「地域の物語」ワークショップに参加した

ときおりこの場にも記しているが、わたしは演劇が好きで、中学高校は演劇部に籍を置き、演じることに加えて、稚拙ながらも脚本演出を手掛けたり、できれば劇団を立ち上げたいと夢を描いたりもしていたのだが、ありがちな夢のままに終わって、すっかり観る専門であった。
観劇好きな世田谷区民にとって、世田谷パブリックシアターはいわばホームシアターのようなもので、わたしも友の会会員になり折々観劇を楽しんでいた。
その世田谷パブリックシアターの恒例企画として「地域の物語」ワークショップ(以下WS)というものがある。文字通り地域の人々が集まって、ひとつのテーマのもとに約3ヶ月間に渡り作業を重ね、最終的に演劇を作って発表する。
以前に一度、その関連企画である「一日おためしWS」に参加して、大いに楽しんだが、その際は時期的な調整がつかず、3ヶ月という長丁場になる本編には参加ができなかった。今回は日程のやりくりができそうだったので、思い切って申し込んでみた。すると運よく参加することが出来た。後で聞いたところによれば、申込者が多く、抽選だったらしい。もう一生宝くじは当たらないかもしれない。でも、それに代えてもお釣りがくるような体験だった。あ、少額当選くらいの運は残っててほしい。卑しい。
今回のテーマは「家族をめぐるささやかな冒険」。詳細は世田谷パブリックシアターホームページをご覧ください。
https://setagaya-pt.jp/workshop_lecture/202001chiikigochamaze.html

「家族」がテーマだけに、なかなかにセンシティブなエピソードが語り語られたりもしながら、まったく見ず知らずのもの同士で演劇を作るという、およそ日常では味わえない体験をさせてもらった。残念ながら発表会は、昨今の状況を鑑みて中止となってしまったが。
わたしを含めた参加者、支えてくれたスタッフも含めて、その場にいたそれぞれがお互いの貴重な経験を共有し、考え話し合った。
常日頃、ものごとを斜に構えて見る癖が染みついており、自分に対してもいつも冷静に俯瞰しているつもりだったが、重ねていくワークの中で、人に語ったり人の言葉を聞いたりするうちに思いがけない感情が芽生え、わたし自身は、生まれ直し生き直すような場面に立つことにもなった。
といっても、参加者同士はいたって和気藹々と、身体を動かし、会話し、時には課題や宿題に唸りつつも、笑い合いながら毎回のWSを大いに楽しんでいた。
先月、すべての日程が終了した。わたしの中で今回のWSがあまりにも大きな位置を占めていたので、すぐにはそれを消化しきれずにいたのだが、今ようやくこうして記録として書けるようになった。
楽しかった。全身で、楽しんだ。後にも先にもないだろう。
関わってくれたすべての人に、感謝と愛をこめて。

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