覚悟(2019.2.27)

過去は愛おしい
逃げ出したい
なまなましさや
鋭く切り立ち
血の滲む過去ですら
時とともに
馴染んで
温もって
ぼんやりと丸くなる
何度でも
再生を繰り返し
擦れて
捩れて
不確かに伸び縮む
いつまでも
醒めない赤い血が
苛まれていることに
気づかせぬように
おのれを温め続け
過去は
恋しい人肌となる
その慕わしさは
いつしか
ためらいをも
偽りの過去とする
逃れられないなら
血に塗れながら
孵らぬと知りながら
未来を覚悟する

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