屑
振り払う意味もたずしてキーボードのキー光りおり終了後 しばらく
夜はもう来ないホームにぬるい風凪ぐ頃シロツメクサが卵産む
おみそしるつくってあげるこのびょうきおえたら耳へ砂をのこして
どこにでも 壊れたビニール傘、人を待つクマの目が返す錆の香
髑髏花 しゃがれた声のなつかしいゆめを起きてもみられますよう
残されて。ケーキをひとりひとり割く紫陽花の外/都市の内側
たたく胸欲しがる羽虫ひかり撒くぼんやり水を溜め込む人に
薄らかな を忘れたと思えり糸遊よほおづえをしておいで
(かばん2016年8月号)
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