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戻ってくるのは



小さい頃から蒸籠蒸しの風景が大好きだった。

焚き火がパチパチと奏でる音を聞いて、
立ちこめる湯気に温もりを感じ、
蓋を開ける瞬間を今か今かと待ちながら、
ずっと湯気に包まれた蒸籠を眺めてた。


ばあちゃんが丹精を込めて、蒸籠で蒸したお赤飯は、うっすらと優しい小豆色で、贅沢に栗もあしらって、ほのかに塩気のある堅めに炊き上げられたお赤飯。

それは今も昔も変わらない。

さっきおかわりしたのに、またおかわりして、
何杯も何杯もおかわりして、
「今日はお赤飯だけでお腹を満たしたい!」
「口の中にお赤飯以外何もいれなくない!」
と、その美味しさに夢中だった

どんなお赤飯に寄り道しても
戻ってくるのは結局、
このばあちゃんのお赤飯なんだと思う。

小さい頃から、どんな私も祝ってくれた
今も昔も変わらない大切なお赤飯の味。

この日、「お赤飯作るとき教えてね」って伝えておいたのに、ばあちゃんは朝早くからすでに作り始めていて、もう蒸している段階だった。

「なんで起こしてくれなかったの!」
という気持ちもありつつ、
寝不足かつ低血圧の私には、朝早くからの
お赤飯作りは正直こたえた

最初から最後までちゃんと教えてほしかったな〜

ばあちゃんみたいに作れるまでにはまだ程遠い....



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