ふと私は小鳥が飼いたくなった

元々動物は好きだった。ペットはそこそこ飼育歴があり、うさぎ・魚・犬などを飼ったことがある。

思えば子供の頃は動物を飼うという心理的ハードルが低かったように感じる。それは同時に命というものを軽んじていたということで、捕まえて来た夥しい数の虫を小さな虫かごに入れたり、縁日で掬ってきた金魚を発泡スチロールの中で育ててみたりと飼い方もわからないまま色々飼ってみるということができた。

昔はどこでも気軽に動物を飼っていたように思える。そして動物たちの命はとても軽んじられていたことを覚えている。人間にとっての畜生はどこまでいっても畜生なので、生まれて来た子猫を袋に詰めて川に流すなんてよく聞いたし犬なんて人間のご飯のおこぼれを食べさせられていた。

しかし動物愛護なんて言葉が通用しない時代(親世代の昭和)から動物愛護が芽吹き始めた時代(平成)を経て、それから今や動物ファーストの時代(令和)になり、動物を飼うということが人生の一大事となった。

勿論、昭和に動物愛護がなかったわけではない。しかし法律的に厳しく罰せられるようになったのは平成からであり、その時に名称も動物保護から動物愛護に変更されたのだという。動物愛護管理法はその後も何度も改正が行われ、厳罰化を重ね、動物福祉が強化され、2012年の改正では「終生飼養」という「動物を飼ったら一生面倒を見なさい」という飼い主の責任が明記された。

それと同時にSNSの普及も動物を飼育するというハードルを引き上げたと思う。動物を虐待するなんて飼い主がいれば真っ先に叩かれる対象にもなるし、ネットではペットの飼い主が日々情報発信をしているので、いい加減な飼い方なんてすれば、飼い主自身が社会的評価を落とす世の中になった。ちょうど今ちゅーるで有名ないなば食品の飼い猫の飼育環境が劣悪だと話題になっている。

別にこれらの風潮は悪いことではなく、むしろ動物たちにとっても動物を愛護する人間にとっても喜ばしいことである。しかしSNSが却ってペットビジネスを加速させていたり、過度なペット自慢の場を提供していたり、ペットフルエンサーなどというふざけた存在などを作ってしまっている。

これに対して私は「ペット(動物)を好き勝手扱いやがって」「ペット(動物)を承認欲求の道具にしやがって」と思うのだが、よくよく考えてみれば人間が動物を飼う理由にエゴ以上の理由は見当たらないし、ペットを飼うことで依存させて頼りにされたいというのも承認欲求であるから致し方ない。

それに私が小鳥を飼いたいと思ったのもエゴである。
日々の生活の中に小鳥がいたら楽しいなくらいな理由だった。
お絵描き練習している中で文鳥やインコが手に乗ってくれたらなというくらい。おそらく毎日散歩をしなくてはいけない犬(散歩大好きなので苦ではない)や家を破壊すると言われている猫よりかは楽だなってイメージでいた。

行動力だけはある私はとりあえずペットショップに行ってみることにした。
実際にお迎えするにはいくらくらい必要なのか、飼うには何がいるのか。
そもそもいくらくらい必要なのか。

小鳥売り場にはそれはもうかわいい小鳥ちゃんたちがいた。
シルバー文鳥7500円、ボタンインコの瑠璃色が16500円である。
手の届かない数字ではない。しかしペットショップは親切なので、飼育するための一日のスケジュールというものが書かれていた。

日中に餌を交換し、水を交換し、敷き紙を交換し、排泄物もチェックする。そして日光浴の時間も取る(これはビタミンを体内で形成するのに必要である)
夜間には朝の行為+スキンシップの時間が必要で放鳥タイムもなければストレスが溜まってしまう。就寝時間は19時20時と早い時間帯で遮光のためのカバーが必要となる。

自分の生活と照らし合わせると、だいたい0時まで活動しているのでとてもインコとは合わなそうである。大きい音も苦手なので配信も厳禁。それに本棚がたくさんあり、鳥類は排泄をコントロールできないので、うんちは垂れ流し、それに巣作りやいたずらで紙を引きちぎってしまう。

あまりに向いてなさすぎる…
そして繊細なので環境の変化にも弱く、ストレスにも弱い。飼い主以外でスキンシップしてくれる存在がいないと簡単に病んでしまう。旅行なんてもっての外。鳥ちゃんを飼っている人の動画を片っ端から見れば、やはり在宅ワークが多かった。

それに環境を整えるのが大変。ゲージ飼いの小鳥は犬や猫と違って寒かったら温かいところに行くなんてできないので四六時中ヒーターやエアコンをつけておく必要がある。そう鳥飼いは電気代との戦いなのだ。灯油ストーブなんてNG!

プラス病気しがち

タイムリーにこんなツイートが流れて来た。
ペットショップではペット保険の勧誘を進めるため+覚悟のない飼い主を避けるためにインコがかかる病気一覧を掲載していたが、入院費が高額!保険適用される人間なんかよりずっとね!だから保険料も高い。月に3000円くらいだから私の入っている県民共済と違いがない(笑)

だからインコと生涯暮らしていくには結構な費用が掛かる。数千円で買える命だけれどもインコというサブスクは安くはない(命をサブスクに例えてはいけないけれど、多分そっちの方がわかりやすい)

初期費用(ペットショップでパッと見た感じ)
・ケージ代 10000~30000円
・ケージカバー代 2000~3000円(売ってなかった)
・エサ入れ  1000~2000円
・菜差し 1000~2000円
・止まり木 2000円
・ヒーター代 6000円~13000円
・キャリーケース代 4000円

維持費
主な餌
・シード飼料 1000~3000円(足りない栄養を補う必要あり)
・ペレット 1000~3000円(栄養バランスが優れている餌)
・ボレー粉 1000円(インコにはカルシウムは必要)
・塩土 1000円(ボレー粉と塩が入っている)
・青菜代 人間のご飯とカウントして0円(ビタミンも必要)

・敷物代 新聞紙なら0円
・電気代  2000~3000円
・おもちゃ代  2000円(インコは賢いのですぐに飽きる)

・病院代 1000円(通院)+α
・保険料 3000円

でサイトとかでは16万とか55万とか言われているけど、普通に100万くらいはいきそうである。インコでこれくらいだからオカメインコは200万…結局犬や猫と大差ない…それでいて知能が高く、繊細な性格であり、ストレスに弱く、環境の変化にも弱く…でかなり気配りをしなくてはならない

インコが嫌いな人間の特徴を見てみた
・臭い人
・ガサツな人
・大声を出す人
・高い声を出す人
・物音を立てる人
・グイグイ行く人
・関係を急ぎ過ぎる人

もうね、これはダメだと、向いてないとね……
小動物って簡単に飼えるけど、世話をするのはめちゃくちゃに大変!
むしろ世話が大変じゃないペットなんていないぞと声を大にしていいたい!

試しにペットの譲渡サイトを見てみると、けっこうな数で出されているインコたち…引っ越しであるとか、仕事で家を空けることが多いからとか、卵を産んでしまったとか、赤ちゃんが生まれて構ってあげられなくなったとか、経済的な事情とか、飼い主の入院とか理由は様々……

ペットを飼うのってこういうことだろうなと。人生何が起こるかわからないし、最後まで責任を持つって飼えなくなった時の譲り先も探すのも含まれるなと。

日中は仕事だし、旅行も好きだし、趣味の時間も欲しいし、自分が何かあった時のためにペット飼うのに理解のある家族はいないといけないしで、小鳥ちゃんを飼うのは当面先のことだなと。そう思うと可愛いペットの写真や動画を上げてる人間はペットを飼っている上で可愛さを分けてくれているから偉大だなと思った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?