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日本進化論

「日本進化論」落合陽一著

全体的に問題提起と新しい視点を易しく述べたもので、サラサラと読めた。展開が早く読みやすいがその分深い議論や具体的なものがない。しかしそこは、読み手に考える余地を与えてくれているのだろうと思う。

ポリテックという考え方がいかに柔軟でこれからの日本社会に必要な視点かが落合さんの伝えたいことだろう。

「働き方」「高齢社会」「子育て」「教育」「財政」「スポーツ」という日本社会が抱える課題の現状とテクノロジーを交えることで見える可能性の世界が広がり、日本もまだ捨てたものじゃないと思える。こうやって発展した議論をする人がいるってだけで、どこか救われる。

個人的には「社会保障制度がどれほど真に価値あるものであるかは、時の試練のみが証明してくれるであろう」というサムスの言葉通り、今がその正念場であるとおもう。社会保障というものは社会的弱者にとってのセーフティーネットであり、それを無くすことは人権を無視することと同等だと言える。しかし、政府や非営利団体においても必要とされるものは「お金」である。国民の負担、インフレ、社会保障、考えるべき要因と個々に守られるべき権利がどこまで共有できるか、考えたいと思った。

政府が税収だけではなく民間企業とイノベーションを共有して投資していくことで財源を確保。さらに企業の創造性を促して雇用も広げることができればメリットだらけだと思う。ただ、投資する企業の公共性は十分に理解する必要があり、ダイバーシティやSDGsなどの理念を持った活動を企業自体がもっと重視するべきだろう。

議論においての問題の共有とその課題をどのようにすることが理想であるかという着地点の共有がとても大切で、意識しようとも思った。自己と他者の共通認識を明文化して省略化しない。話を噛み合わせるためには議論を始める前の入念な認識の共有が必要不可欠。