#48,#49,#50 家族の発達段階「教育期前期」

改めて、今、日本の家族ってどうなっているのか?

本田由紀:「日本」ってどんな国? 国際比較データで社会が見えてくる
家族/ジェンダー/学校/友達/経済・仕事/政治・社会運動/日本と自分

1.全体状況
2.家庭生活の満足度
3.父親・母親はどのような存在か
4.子どもの生活時間
5.政府の家族関係社会給付

大人も子供も忙しく、愛情を育む、深める時間もない
働いても収入は増えず、精神的にも余裕のない現状
親は子供から尊敬もされず、理解してくれる存在であるとも認識されない
そして結婚生活満足度は下がり続け、家庭生活満足度は諸外国に比較して低い 

このような現状のなかで、教育期前期の子どもをもつ家族について考えたい

学童期にある子どもを育てる段階(教育期前期)

伝統的には、子どもが身辺自立することで親の養育負担はぐっと減り、穏やかな安定期を迎える

1.家族の発達課題

①子どもに大切な家族の一員であるといういう感覚を与えながら子どもの社会性の発達を促す
②子どもが自分の手元から離れる不安や心配を乗り越え、学校生活や友人関係で子どもが直面する問題の解決に適切な手助けをする
③学校などの地域社会とのつながりを強化する

2.子どもの発達課題

①エリクソンのライフサイクル論でいえば、児童期の発達課題は「勤勉性の獲得」
勉強や遊び、スポーツ活動などに取り組むなかでさまざまな課題に向き合い、努力し達成することで勤勉性を獲得。周囲からのサポートを受けながら努力と成功体験を積み重ねることで、「自分は自分なりにやっていける力がある」という有能感を育むことができる。
児童期は、社会との関わりで生じる葛藤に向き合いながら社会に適応し、自分らしさ発揮していく時期

②ギャング・エイジと呼ばれる同性同年齢集団をつくって仲間意識や友人関係を楽しむようになる
家族以外の集団への帰属意識、競合・共同の経験、集団におけるパワーや位置関係を再認識し、ルールを学ぶなど子どもの対人関係スキルを高めることができる

3.学童期(6歳~11歳)子どもの発達

【6~7歳】空想の時期
【7歳】 理屈の時期
【8歳】ルールと計画の時期 家族会議の時期
【9歳】正義と完璧の時期
【10歳】信頼の時期
【11歳】思春期の始まり

4.親の体験

①「重責」:親役割の重責に押しつぶされそうになる
②「迷い」:何をどうしかり、どう褒めるか、子どもの将来になにを期待するか、そんな経験を奨励し何を禁止するかなど、抽象的レベルから具体的言動に至るまでさまざまな取捨選択が求められる
③孤軍奮闘:パートナーとのコミュニケーションは減少傾向。結婚生活満足度は減少の一途。自分の育児を相対化してみるチャンスがない
④苛立って怒鳴る、挑発されて激怒する 自己嫌悪の繰り返し

5.この時期において大切なこと

①「どんな状況であっても大人でいること」(緑でいること)
リラクゼーション/幸せな」場所や幸福な思い出をよみがえらせる/自分の状況を観察する/子ども達は自分の人生を生きているのであって、親を困らせようとしているのではない
②【子どもの問題解決をサポートする】
③子どもの発達に見合った要求水準を保つ
④ただただ楽しく過ごす時間を積み重ねる
⑤親のネットワークを強固なものにする

参考文献

本田由紀:「日本」ってどんな国? 国際比較データで社会が見えてくる、ちくまプリマー新書、2021

中釜洋子・野末武義他:家族心理学 家族システムの発達と臨床的援助 第2版、有斐閣ブックス、2019

イザベル・フィリオザ、土居佳代子訳:子どもの気持ちがわかる本 6-11歳、かんき出版、2022

伊藤二三郎:ポリヴェーガル理論で実践する子ども支援、遠見書房、2022





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