#37 家族発達理論「家族発達理論とは」

1.家族の二つの変化

(1)家族を構成するメンバーの変化に即して生じる変化
(2)外部の社会の変化に伴って生じる変化

家族発達理論は、(1)の変化に焦点を当てたもの

2.家族サイクルのモデル(カーターとマクゴルドリックによる家族発達段階)

(1)独身の若い成人の時期
(2)結婚による家族の成立期
(3)乳幼児を育てる段階
(4)青年期の子どもを持つ時期
(5)子どもの巣立ちが起こる時期
(6)老年期の家族

※教育期前期、完結期を加えた8段説もある

3.各段階の発達課題

(1) 独身の若い成人の時期:結婚に向けての準備段階

①職業選択と経済的自立
②親密な人間関係の確立
③生まれ育った家族(原家族から自己分化し配偶者を選択する)
④結婚に向けての準備

(2)結婚による家族の成立期

①相互信頼感の確立
②相互適応と相互依存(支え合う)
③バランス取り(ワークライフ、役割、実家など)
④子どもをもつかどうかの選択
⑤コミュニケーションスキルの獲得
⑥夫婦としてのアイデンティティーの確立

(3)乳幼児を育てる段階

①父親・母親役割の獲得と健全な保育
②新たな生活のバランスの再編成
③夫婦のルールを築く
④社会的サービスを活用する
⑤祖父母と孫との関係を調整する

*教育期前期(小学生の子どもをもつ時期)
①子どもに大切な家族の一員であうという感覚を与えながら子どもの社会性の発達を促す
②子どもが自分の手元から離れる不安や心配を乗り越え、学校生活や友人関係で子どもが直面する問題の解決に適切な手助けをする
③学校などの地域社会とのつながりを強化する

(4)青年期の子どもを持つ時期(10代の子どもをもつ時期)

①子どもと親との間にゆるやかな絆を形成する
②子どもからの拒絶を受け入れることを学ぶ
③次第に視点を子どもから配偶者に移し、夫婦を基盤にした家族の基礎を築き始める
④生活習慣病の予防に努める

(5)子どもの巣立ちが起こる時期

①親離れ、子離れに伴う喪失感を乗り越える
②子どもが巣立った後の生活設計を具体的に検討する
③更年期障害や生活習慣病のコントロールに努める

(6)老年期の家族

*充実期:夫婦二人暮らしの時期
①夫婦が新たに出会い直し、夫婦の関係性を強化する
②加齢に伴うさまざまな変化を受け入れ、無理のない新しい生活スタイルを構築する
③地域活動に参加し、これまでの豊かな生活経験を社会生活に活かす
④子どもの配偶者やその親族などと新たな関係を構築する
⑤親の介護問題に夫婦で取り組む

*完結期:配偶者を失った後の独り暮らしの時期
①グリーフワークを続ける
②一人で暮らす生活や家族との同居、施設入所などにより生じた新しい生活に適応する
③他者からの支援を受けるという新たな体験を通して社会性を維持・拡大させる

4.家族発達理論の主張

(1)家族には発達段階に応じた特有の生活現象があり、新たな課題がある
(2)発達段階の移行期には危機に陥りやすい
(3)特定の発達段階にしがみつかす、しかし変化に圧倒されることもなくすべての経験を糧にしてその時々での暮らしの在り方を最適化すること

5.家族発達理論の限界

(1)家族が社会の変化によって変容するという視点がない
(2)子どもをもつ家族が対象

お役立ちポイント

・自分の家族を、長期間の家族の発達という視点でみてみるのはいかがでしょう?
・家族は歴史を重ねている
今の悩み事も、家族のひとつのページ。相対化する
・その段階段階での課題を意識する 夫婦で家族で話し合う
・時々での家族のくらしを最適化する


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