#26,#27 家族の機能⑭⑮ 「自分も相手も大切にするミュニケーション」

1.健康な家族にみられるコミュニケーションの特徴

① 誰から誰へのコミュニケーションなのか、方向が直線的で代弁や一般化がない
・父親から息子に「〇〇は・・」というべきところを、「この頃の若者は・・・」
・妻が夫に向かって言うべきところを「あなたのお父さんは・・・」
問題のすり替え、問題の歪曲が起こる
② メッセージは送り手の意図が明確に表現され、その意図に沿って受け取られる
③ 内容が明確に伝わり、情緒的つながりへの確認がなされる
④ 言いたいことがその場で明確に伝えられている
⑤ その時々によって相称性にも相補性にもなり得る
⑥ 情報の量と質にバラエティーがある
⑦ 話題にタブーがない
⑧ 自己開示がなされ、受容、支持される
⑨ 言葉のみならず、身体接触を交えたノンバーバルコミュニケーションが用いられる
⑩ 三角関係化が起こらない

明瞭性/脈絡性/情緒性/多様性

2.自分も相手も大切にし、より良い家族関係を築くコミュニケーション

1) 根っこになるもの

①自己理解
ア.自分の感情や判断、要求に自覚的であること
自分は何を感じ相手に何を伝えたいのか、何を望んでいるのか気づく
  
イ.自分のポジティブな側面とネガティブな側面をバランスよく理解する
否定的な自己認識が強い 非主張的 被害的な受け止めから攻撃的に
肯定的な自己認識が強い 主張的 攻撃的 指示的
相手をどう見るかにも影響
否定的自己像 相手の否定的側面ばかりに目が向く 理想化する
肯定的自己像 相手を否定的にみがち

②自己受容(自分にOKを出す)
自分にOKを出すことができれば、卑屈になったり尊大になったりせず、相手をありのままに受け止められる
相手の不完全さに寛容になれる

③自分を大切に想う気持ち(自尊心)
自分を大切に思う気持ちが育っていないと言いたいことをいつも呑み込む
攻撃されても抗議できない 周囲に攻撃的になり相手も自分も傷つける
かけがえのない自分という感覚があるから、かけがえのない相手を大切にできる

トレーニングが必要 安心・安全な場で対話する経験、成長を実感できる体験を積み重ねることが大切

2) 幹になるもの

(1)自己表現は基本的権利であることの理解(アサーション権)
①誰もが家族に自分の考えや気持ち、要求を表現してよい
① 誰もが家族との関係において自分らしさを大切にしてよい
② 誰もが真面目に聴き、受け止めて欲しいと要求してよい
③ 誰もが夫婦として親として不完全であってよい
④ 誰もが相手にして欲しいこと、して欲しくないことを言ってよい
⑤ 誰もが相手の依頼や要求を断ってよい
⑥ 家族との関係において傷つくことがあってもよい
⑧すべての家族メンバーに自己主張しない権利もある

これらは、互いのバウンダリーを尊重するということ

家族の勢力構造のなかで、
・私には収入がないから夫には言いにくい
・どうせ夫が好きに決めるのだから言ってもしょうがない
・家族のなかでモメるようなことを言い出すべきではない
・子どもの心を傷つけるような親は最低だ

生まれ育った家族のなかであなたはどんなメッセージを受け取ってきましたか?
・そんなことを言うな/なんでそんなこと言うの?/お父さんには言わないで
・静かにしてなさい/良い子にしてなさい/口答えはしないの!
・言いたいことがあるならちゃんと言え
・親の言うことがきけないのか
・そんなこと、言わなくたってわかるでしょう!

「家族のなかで、本音を出していいことなんてひとつもない」非主張的
家族のコミュニケーションパターンをそのまま受け継ぐ 主張的

これらの原則をどうとらえるか
そんなの建て前→なるほどそうかもな~→これは真理だな
アサーション権:黒人解放運動から起こってきたもの

(2)自分がかけている眼鏡に自覚的になること
ものの見方や考え方がコミュニケーションに大きな影響を及ぼす
相手は言わなくても察してくれるハズだ→非主張的
妻はいつも感情的になる→非主張的
あの人には強く言わなきゃ通じない→主張的
ネガティブバイアス/確証バイアス

<家族関係における思い込みの例>
① 言わなくても察してくれるはずだ
② うまくいっている家族には葛藤や問題はない
③ 言いたいことを言い合うのが大切だ
④ 相手が傷つくことは言うべきではない
⑤ 夫婦の価値観や考え方は一致しているべきだ
⑥ 夫は〇〇、妻は〇〇であるべきだ
⑦ 相手に不満を感じたときに実家や子どもに頼り助けてもらうのは当たり前だ

3) 枝や葉

(1)メッセージの送り方
Iメッセージ→NVC、アサーション、親業、CRFT(依存症で悩む家族のためのコミュニケーションプログラム)

共通するのがIメッセージ
「言わなくても済むことは言わないように変化する」法則
主語を省略しがちな文化 言葉足らずになりがち

こんなに遅くなるなら、どうして電話一本入れてくれないの
→何の連絡もないから、私すごく心配したわ。今度遅くなったときは必ず電話してね

また出かけるの!家族のことなんか、もうどうでもいいと思っているのね
→あなたにとって家族はどうでもいいのかなって思えて来て、私、寂しくて悲しくなるわ
 週末の夜は一緒に過ごす時間をとって欲しいの

NVC:観察、感情、必要としていること、要求
アサーション:DESC法 描写する 主観的な気持ちを表現する 提案する 選択する

自分の感情や考え、要求について自覚的であるとよい
ニーズリテラシー

(2)聴き方
相手の気持ちや考え、欲求を理解しよう、受け止めようという意識をもち積極的、能動的に耳を傾ける
相手は何を伝えたいのか、推測しつつ聴く
共感をもって受けとめる

少なくとも相手が大切なフレーズを発したとき
発言に蓋をしない
戦闘態勢に持ち込まない

会社、辞めようかな・・・

えっ!なんで!
今、辞められると思ってるの?
辞めてどうするのよ!
辞めたら、どうやって生活していくの?
誰だって辞めたくなる時はあるけど、もう少し家族のために頑張るべきじゃないの?
ちょっと無責任なこと言わないでよ!悩んでるなら上司に相談してみれば
そんなこと、よく言えるわね

そっか、辞めようかなと思ってるんだ
言いにくいことを話してくれてありがとう
力になりたいと思うけど、
私に何ができそうかな?

まとめ

あなたはどんな夫婦でいたいですか?
どんな家族でいたいですか?

参考文献


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