石破政権、火消し発言相次ぐ~バイデン大統領発言で原油急伸
石破首相発言受け円キャリー再開?
政府関係者らから火消し発言相次ぐ
昨晩の「(個人的には)追加利上げをする環境にはない考えている」発言を受けて、ドル円相場はスルスルと上昇。石破首相の発言で「日銀の利上げが遠のく」との思惑が広がり円キャリー・トレード再開の可能性をもたらしたようです。ドル円相場は147.20円台まで上昇。
岸田前政権では止まらぬ円安が支持率低下をもたらしたとの指摘もある中、(あまりに悪い円安との刷り込みが大きかった)石破首相の発言によって円キャリー・トレードを再開させてはならないと、早速、政府から修正コメントが出ています。
また、また武藤経産相も
「為替や金融政策、政府が直接介入するのもおかしな話」と発言しています。
首相就任前には利上げを支持してきた石破首相。「金利引き上げだね。これはもう、ハードランディングするしかない。反発はすごいだろう、アベノミクスの否定になってしまうから。これを言えるのは、(安倍さんと対立していた)俺しかいない」
それが一転、利上げする環境にない、などというものだから市場は安堵して円売りを再開できると考えたわけです。金融政策は日銀の仕事ですので、政府と緊密に連携しながら判断は日銀に委ねているとだけ言っておけばいいものを、余計な発言をしたことで、マーケットのボラティリティが上がってしまっています。ただ、石破首相の変節も選挙を控えてのこと、選挙後改めて支持を得られたなら心置きなく持論を展開するのでは、という警戒もないわけではありません。ともかく発言が状況によって変わるというのは、マーケットにとっては迷惑な話ですが、石破首相の昨晩の発言を今日、政府関係者らが揃って修正してきたという印象ですね。
ハト派の野口日銀審議委員
「ほふく前進的に利上げを進めていかざるを得ない」
ハト派として知られる野口日銀審議委員(7月の利上げに反対した)が今日、講演で
「2%の物価安定の目標と整合的なマインドセットが社会全体で確立されるまでにはまだ相応の時間が必要だ」「それまでは緩和的な金融環境を忍耐強く維持し続けることが重要と考える」
と従来からの緩和維持の必要性を唱えましたが、一方で利上げについてこのような発言をしています。
「もう少し緩和調整余地ある可能性は否定できない」
「現在の金融環境は十分に緩和的」
「ほふく前進的に利上げを進めていかざるを得ない」
選挙対策で石破首相が早期利上げを牽制する方向に豹変したとはいえ、日銀は利上げのサイクルに入った、という事実を確認するもので、次の利上げが10月日銀という早期タイミングである可能性は低下したものの、早ければ12月、年明け1月にもデーターが揃えば利上げに動くだろうということには留意しておく必要があります。
雇用統計控え、ドル金利上昇基調続く
とはいえドル円相場、円安の勢いは削がれたものの円高方向に転換したわけではありません。高値圏の揉み合いに入っています。
昨晩のADP雇用統計がいい数字だったことを受けてドル金利上昇、ドル円も上昇を加速させていますが、今夜の米経済指標も良好でした。
雇用指数が弱かった、という点は気がかりですが、昨晩のADP雇用統計が強かったこともあり、明日の雇用統計は強い結果となるのではないかという予想。今日のJFXライブで安田佐和子さんが詳しく解説されていますので、動画をぜひ。https://www.youtube.com/watch?v=GbvuIHCyiKY&t=4740s
ということでドル金利は短期~長期すべからく上昇基調です。これがあるため、ドル円は石破首相の発言がなくても上がりやすい地合いにあったとも言えるのですが、明日の雇用統計が予想を上回ればドル円の一段高も想定されます。
BOEベイリー総裁発言でポンド急落
ドル金利上昇でドル高基調にあるのですが、今日は英国の中央銀行BOEのベイリー総裁の発言でポンドが急落しています。
発言を受けて短期金融市場はBOEの11月の0.25%利下げを完全に織り込み、12月にも連続して利下げが行われる確率は2日の約40%から70%に上昇しています。トレーダーらは2025年末までの利下げ幅予想を最大10bp拡大させ、来年末の金利を3.25%前後と見積もっているとのこと。
ポンドドル5分足チャート。
ポンドドル日足。これまでポンドはきれいな上昇トレンドを形成していましたが、トレンドサポートラインを割り込んでいます。
昨日は欧州中央銀行ECBの利下げが加速するという見方が市場に広がり、ユーロ売りが加速しましたが、今日はポンド。ユーロ、ポンドに独自に弱い材料も出てきたのですが、基本は下がりすぎたドル金利の修正高によるドル高がありますので、2つの材料が相まって下落が大きくなっているんですね。
通貨インデックスを俯瞰してみると、ドル独歩高の様相を呈しているのがわかります。ドル買い:円売りとか、ドル買い:ポンド・ユーロ・豪ドル、キウイ売りという通貨ペア選択となりますが、今日はユーロドルを1.10444ドルで売り参戦しています。今日はポンドの下落のほうが大きく、あまりユーロは大きく下がっていないのですが・・・。
ドル円144.21円ロングは明日の雇用統計に向け保有継続中ですが、今日の安値である147.27円を明確に下回る事があれば雇用統計前でも手仕舞おうと思っています。
バイデン大統領発言で原油急伸
バイデン大統領が、イランの石油施設を攻撃するためにイスラエルと協議中であると述べたことで原油が急伸しています。大統領選前にインフレ再燃のリスクのリスクを鑑みずにこのような発言をするとは・・・
イランの弾道ミサイル攻撃の報復は警戒されていますが、それはイスラエルが行うこと。イラン攻撃に米国が加担するかにも映る発言です。昨日の副大統領候補のTV討論でも、この件について司会者に問われ、民主党のウォルズ氏は、「ただでは済まないだろう」と警告したことが問題視されているようです。共和党のバンス候補は、「自国の安全を守るために何を必要とするかはイスラエル次第であり、同盟国が悪者と戦っているのであれば、どこにいても支援すべきだ」と発言し、イスラエルを援護支援するスタンスにとどめています。ウォルズ氏の発言は米国の軍事的関与を想像させるものでもあり、今日のバイデン大統領の発言もそうですが、これらの発言が大統領選挙にネガティブに働くだろうと思われます。
原油高は金利高に繋がり、米株下落リスクとなります。今夜は米国株やや軟調に推移しています。本格的リスクオフとなればドル高円高となるので、ドル円上昇の勢いは削がれる可能性がある点にも留意しておきたいですね。
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