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苦行のはじまり②〜出産前〜


出産予定日は9月末。

私のお腹は
風船のように突き出していた。

「五体満足で、健康に生まれてきてね。」

と、毎日お腹をさすりながら出勤した。



くる日もくるも、
脚のむくみも感じながら
台帳の数字とにらめっこ!

苦手だった算数と地理に
今さら苦労する羽目になるなんて…



専業主婦志望だった私が
義父の経営する運送会社へ
強制連行されてから出産までの5ヶ月間。

「箱入れられすぎ」娘は、
両親やまわりの大人たちの忠告が
身にしみたと同時に、
「社会人になる」ということの
本当の難しさと厳しさを学んだ。



9月15日、敬老の日。

大好きなフルーツ牛乳を
腰に手をあて
いっき飲みをするのが私の日課。

「ぷはぁ!!
 今日もフルーツ牛乳がうまい!
 さっ!今日も一日がんばった!
 ねまひょ。ねまひょ。」

と、布団にはいった。



すると明け方の3時ごろ
地震が起きた。



「おっ!よく揺れたねぇ。。。」

主人と会話を交わした私は
お布団のシーツが濡れていたことに
ふと気がついた。



「昨晩、寝入りにフルーツ牛乳を
 飲みすぎたのかな?
 オネショしちゃったよぉ〜」

と、シーツを取り替え
また寝床へ戻るひろこ。

(いえいえ、ひろこさん!
 ソレは破水ですよ!破水!!)



今度は、お腹が痛くて起きあがる。
トイレに駆け込みきばってみるも出す…

「やっぱり冷たいものの飲み過ぎだったね。
 アカン、アカン、反省!」

そしてまた
寝床に戻るひろこであった。

(いえいえ、ひろこさん!
 ソレ、陣痛ですから!
 早く病院へ行かなきゃ…!)

つづく













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