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特別編〜お雛様のに日〜

いつものように 
morning house(clubhouse)を
聴き終わると弟から電話がはいった。

「ばばちゃん(母のニックネーム)の
 容態が急変したから病院へきて」





数週間前から誤嚥性肺炎で
救急搬送されて入院中だった。

病室にはコロナなので
入室規制があり面会はひとりづつ。

ベッドの上には、
やせ細って息が苦しそうな
母が横たわっていた。

思わず駆け寄り
「規ママ、ありがとう!
 私を産んでくれて、ありがとう!
 あなたの娘でよかった。
 私はあなたが産んでくれたおかげで
 今とっても楽しい人生が
 送れているよ。」

泣くまいと思っていたが
自然に涙があふれでて止まらなかった。





「泣かないの。
 私もあなたを産んでよかった。
 楽しかったね。
 ごめんね。 
    介護ばかりさせちゃって」

「32年間よくがんばったよ!
 左半身付随になって
 じわじわの痛みに耐えながら
 よくここまでがんばったよ。」

「ひろこ!
 息するのが苦しいよ!
 早く寝たい。」

そう母は訴えながらも
スマホに入っている
ひ孫たちの成長ぶりをながめて笑いながら
少しの時をすごした。





「一度、病室をでて下さい。」

看護師さんにうながされ
後ろ髪ひかれながら退室した。




夕飯をとりに自宅へ…

「容態が急変したから病院にきて!」

弟から再度電話が。





2022年3月3日 7:07 PM
享年 88歳

オリエンタル中村の
オシャレエレベーターガールは
安らかにベッドの上で
スヤスヤと眠っていた。

よく 親子喧嘩したね。
よく 鬼娘に怒られちゃったね。
ごめんね。

でもね、でもね、
もっと母娘でお買い物腕組んで行きたかったよ。
もっともっと 車椅子なしで旅したかったよ。
それは 来世でのお楽しみだね。




おつかれさまでした。

いまごろは
草原でもかけまわっているのかな。

合掌





追伸:
本当に 本当に
ありがとうございました。

そして温かく見守って下さった
「つきのこみち」有料老人ホームの
優しい社長様、スタッフの皆様、
医療従事者の皆様
心から感謝申し上げます。

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