育児ノイローゼからの脱出②

お乳が張る！
今ごろ泣いていないかな？
オムツは濡れてないかな？


ソロバンをはじきながら
うわの空…


集中して仕事をしていないから
まちがいだらけ！





とうとう　
「よき嫁」の暴動がはじまった。





「義父さん！
　お願いですから
　せめて保育園か幼稚園が決まるまで
　家にいさせてください。
　子供のことが気になって気になって
　仕事が手につきません。
　申し訳ありません。」


大川家に嫁いで初めての反抗だった。


義父はしばし無言…





翌朝いつものように
出勤の用意をしていたら、


「（私の）熱が下がって
　保育園か幼稚園が決まるまで
　しばらく家でゆっくりしてろ！」


ぶっきらぼうに
義父さんが言ってくださった。





「えっ！？いいんですか？」

「しゃーないやろ！」





その代わり、犠牲者あらわる。





「たかこ！(義妹)
　明日、会社辞めてこい！
　ひろこの代わりに明後日から
　おまえが事務所に出勤しろ！」


あり得ない！
どんだけワンマンなのか？





しかし義妹もサラリと


「辞めてきてもええけど
　それなりのサラリーもらえるんやろね？」


やはり「この親にしてこの子あり！」
突然のフリに対しても動じることなく
対応する。





義妹が事務所に出勤してくれた。


…が、しかし！
それも長く続かなかった。


義父、主人、義妹がひとつ屋根の下
事務所で仲良くすごせるわけがなかったのだ。


1年半後、
私は大川運輸の事務所で
ソロバンをパチパチはじいていたのである。

つづく