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介護〜義父③〜

一度だけ、義父と思いっきり
喧嘩をしたことを思い出した。


それは
息子の高校進学のことだった。


私はひとり息子を
主人のような温室育ちには
させたくなかった。


敢えて私立ではなく
地元に根付いた地元の小中校に
通わせたのだ。


ゆくゆくは運送会社の後継ぎとして
「たくましく育てねば!」
という使命感に燃えていた。




一人っ子のため
兄弟喧嘩をする相手がいなかったので、
小学4年生から6年生まで
寸止めなしの極真空手の教室に入れた。


もちろん週末になると
自宅に呼んでよく預かっていた
友人達6人も巻き込んで。


体育館で練習を行っていた空手教室に
自転車で週2回通うよう習慣づけさせた。


そして
6人の友人達と地元中学に入学するや否や
剣道部から7人まとめてスカウトにあった。


あとで聞いた話なのだが、
極真空手で動体視力の鍛錬を積んだ
このメンバー7人を、
剣道部の顧問が
狙っておられたとのこと。(怖)


女子剣道部は全国大会に出場する程の
達人の集まりだったのだが、
かつての男子チームは
もっぱら成果が出なかったそうだ。


なんと彼らは中学入学後
その本領を発揮し、
彼らが中学3年になった頃には
全国大会に出場できるくらいの腕前に
成長していたのだ。




息子は中堅どころ。
試合の勝敗を決める
1番大切なポジションだった。


が、しかし…


息子は絶賛反抗期の真っ只中!


全国大会の決勝まで進んだのに
息子のやる気の無さで負けになった。


それでも顧問の先生は諦めず、
東海大会に焦点を定め
見事に優勝を果たしたのだ。


息子の友人達はこの結果で
体育推薦となり高校受験を免れてた。


そして息子も
公立高校の進学校へ体育推薦で進学でき、
剣道で有名な國學院大にも行けるという
華々しい将来が約束されたのだ。




だか息子は、親の思うようにはいかず


「僕はオトンやオカンが通っていた
 私立に編入受験する!」


と、突然の宣言!


「はぁ!?
 もう高校受験しやんでも
 竹刀さえ振っていれば
 大学まで約束されているのに、
 なんでわざわざお受験するんや!」


私の怒りはMAXだった。




…と、そこへ義父が参戦。


「○○(息子)!
 おぉぉ!よう言うた!
 そうしろ!そうしろ!」


いえいえいえ、
この秋から受験勉強!?塾通い!?
味方するのやめてよ!


たくましく育てたいのに
なんで敢えて温室の私立へと導くのよ!
冗談じゃ無いわ!!


そして義父にはじめて
ひろこは物申した。


「お義父さん!
 これは私達の問題なので
 口を挟まないで下さい!
 彼を軟弱に育てたく無いんです!
 後継ぎにするには
 たくましく育てなければ!」


「やかましいわい!黙っとけ!
 別に後継いで欲しいなんて
 一言も言うて無いし、
 思って無いわい!!」


「えっ!?どーいうこと?」


それから私と義父は
1ヶ月会話を交わさずに暮らしたのだ。




「お義父さん、夕飯できましたよ。」
と、私が部屋に伝えに行くと
怒り心頭の義父はワザと


「おーい!夕飯の支度まだかぁ?」
と、物申す。


「あぁぁぁ!
 もうどんだけ怒ってるんや。」


やってられない。


つづく

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