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夏に施工したものを振り返ってみる

もう11月、すっかり肌寒い時期だけど、あえて夏休み(8.9月)に施工した空間達を振り返る。
いや、あえてではなくダラダラと書きためていたらこんな時期になってしまったのです.....。なんだかこの夏休みは色んな現場に行く機会をいただくことができたので、何事も早め早めにやらなきゃなぁという反省とともに振り返っていこう....。


つむぐと(東京都三鷹、8/17-8/24)

 千葉大の同期がトータルデザインを担当したお店。施工の手伝いを募集していたので参加。最初は施工手伝いするだけのつもりだったが、もともと想定していたデザインや作り方だと構造的に成り立たないということがわかったので、急遽詳細設計にも携わることに。
 大枠としてすでに出来上がっているデザインに対して詳細を考え、リアリティを出していくこと、限られた予算の中で美しく機能的な空間をつくるために奮闘することがとても楽しかった。
 長屋や町家改修を行っている大学にいると、ホームセンターで購入するような材料に対して安っぽさしか感じないこともあるけれど、その軽やかさや親しみやすさという部分は、上手く使えば嵌るんだなぁとも感じた。そういった要素を残しつつ、安っぽさ・素人っぽさを消せるかどうかは詳細部や施工にかかっているとも感じたし、面の切り替えや接合などを考えたおかげでそういった場所に注意が向くようになったのは良かったと思う。
 施工時間2日という短い時間しかなかったが、無事完成。設計に携わることができたし、普段学んでいることを実践すること場を与えてくれた同期と施主さんに感謝。

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(表紙と上2枚Photo : 有村大治郎)


実家リノベーションPart 1(東京都、8/15-9/2)

 実家のDIYリノベーション。実家は築30年ほどで、あちこちに不具合が生じている。せっかく住宅について学んでいるわけで、いい機会だということで、自分で手を加えて直すことに。
 手始めにクロスが剥がれかけてたり、黒ずんでいる壁の補修から。クロスを剥がし、漆喰を塗っていく。質感が変わると空間が大きく変わる。味を出したり上手く塗る技術はまだまだだけれども楽しいなあと。目立たない部分から作業していて、まだ未完成なので技術を上げ、一番目につく場所は美しく仕上げたい。

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粉浜の呉服屋(大阪府大阪市、9/6-9/13)

 関わらせていただいている建築事務所の案件で呉服屋の改修施工。
今回の僕の作業は外壁、巾木、天井、柱の塗装とモルタルのネタ作り。塗装はそれぞれどれも下地の状態、塗装材料、テクスチャ表現が別々で、塗り1つとってもこんなにも様々な表現方法があるのだなぁと。
 一緒に作業していた方は当然設計も施工もプロなので、空間構成のつくりから施工方法まで学ぶことばかり。
 また人通りが多いところに面しているということもあって、どう周囲に配慮しながらつくるか?といった制作倫理についても今回はより学べたと思う。

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ゲストハウス大淀(奈良県大淀町、9/16)

上記イベントで滞在させていただいた来年開業予定の奈良のゲストハウス。元社長の邸宅ということで力強い木が柱梁に使われていたりと豪勢なつくり。
施工といっても1日しか滞在していないので、やったことは土壁に下地用シーラーを塗っただけ。けれども地域の中で自分の能力を発揮できる場があるというのはとても良いものだと感じたし、今後も関わっていきたいなと思う。

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そらのま(和歌山県紀美野町、9/28-9/29)

研究室のプロジェクトでやっている和歌山県の古民家改修。今回はキッチン周りのデザイン検討や、大引・根太の水平チェックと固定を行った。
電気設備や排水など、建物をつくろうとすると検討事項が山ほどで、どこから手をつけていいのか悩ましいが、これが建物をつくるということなのかと実感。

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まとめになっていないようなまとめ

さてそれぞれの現場を比較した時、単純な満足度で言えば「呉服屋」が一番良かった。十分な給与が与えられながら、学ぶ場としても機能していた。一方で自身がデザインするということはなかったのでそういった点で言えば「つむぐと」の現場が一番面白かった。
「ゲストハウス大淀」「実家リノベ」は自身のスキルがどれほど通用するかをある意味無責任的に試す実験場のような意味合いが強かったように思う。

などなど、自分でデザイン・施工する現場、プロの元で動く現場、体験としての施工の現場、それぞれで僕自身の現場への関わり方が違う。
それぞれの関係図を示してみると下のような感じ。

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(ここでは簡略化のため記載していない人物もいる。例えばそらのまでは実際に設計に携わる人数は僕1人ではなく院生数人である。ただ役割の図式としては正確に示している。)

関係性が異なれば、改修の目的も異なる。体験としてのワークショップであったり、貨幣としての報酬をいただくものであったり、研究であったり。
しかしそれぞれの関係性の違いから何が言えるのかということが全くもってわからない。この記事の執筆が全然進まなかったのもそれが原因で、今もよくわからない。
しかしそれぞれの現場でうまれた感情の違いや違和感というものは何か意味があるのではないかと個人的には思っている。

以前↓のような記事を書いた。

順番は前後するけれど、この記事のようなことを感じた要因の一つにこの夏の様々な現場経験がある。人々がDIY的に自分の手で何かモノをつくるということには大きな価値がある一方で、そういったDIY的な体験が、体験としてのみ消化されてしまってはよくないと自分は考えている。

DIY的にモノづくりを体験しながら、所有者・設計者・施工者がそれぞれの立場で十分に満足し、なおかつたちあがる空間の質も高くするにはどうすればいいのか。

全くまとまっていないが、この夏自分が何をしていたのかの備忘録として、いつかこのnoteがほんのちょっとでも役に立つことを信じて締めようと思う。



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