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もうひとつのこころ


夜中の漫画喫茶。
明大前、深夜1時ごろ。

まだ梅雨入りするちょっと前、ワンピースを1巻から読み直したくて、深夜に漫画喫茶に入った。
予備校の自習室を思い出す。
静かでゆっくりとした空間。

街は眠っているのに、みんな音を立てないように作り上げた豊かさにつつまれる。

外に出てみる。

眠ったあとの東京は、なんだか優しい気がした。
みんな武器をしまっている。

あの町の戦士もみんな、刀を置いて眠る。
夜はおだやかで、優しい。優しさは平等である。
とてつもなく長い時間をかけて、やっと手に入れたもの。憎しみや争いは消えないけれど、もう一つのこころをゆっくりとゆっくりと守ってきた人たちの愛の上に、僕たちは眠っている。

風のやわらかさを感じる。少し動かされてみる。
雨を待つような天気は、明日で終わるみたいだった。寂しさと同時に、胸が高まる。

歴史の上を歩いていく。
本当は、何にもわかってないのに。
わかったような顔で、歴史の上を歩いていく。

過去も未来も、頭の中。
感じられるのは、今だけらしい。
縦画面で流れてきた情報の上で、また自分は関係ない顔をしている。


そういえば、来月父親と温泉旅行に行く。
旅行するの、そういえば初めてだね。




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