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5章:オリジナルマジックを作る

オリジナルマジックが重要な理由

厚川昌夫賞

 ご存知の方もおられると思いますが、かつて、新しいマジックを考案したマジシャンに与えられる厚川昌男賞がありました。
 厚川昌夫(あつかわまさお)とは、マジシャンであり、直木賞作家でもいらっしゃる泡坂妻夫(あわさかつまお)先生の本名です。
 厚川昌夫賞は1年に1人、オリジナリティの高いマジシャンに与えられる章でした。

厚川賞の始まり

 オリジナルマジックを考案したマジシャンに与えられる厚川賞の起源は、テンカイ・パームでお馴染みの石田天海先生の時代に遡ります。
 天海先生は、長年海外でご活躍されていましたが、日本に帰国されて後、日本人マジシャンの《オリジナリティの無さ》に衝撃を受けたと言われています。

 日本人マジシャンは、自分のマジックではなく、他人の真似をして他人のマジックばかり演じている、と天海先生は心を痛めたのです。そして、これからの日本のマジック界の発展には、オリジナルマジックの普及が不可欠であることを確信します。

 その発想が、後に《天海賞》そして《厚川賞》へと引き継がれました。
 人気マジシャンになるために《オリジナルマジック》を持つ事は、世界的に見ても必要不可欠な要素であったのです。

天海賞受賞者

 石田天海賞は、1968年~1997年に実施されました。受賞者を列挙します。

•林伯民
•厚川昌男
•赤松洋一
•気賀康夫
•沢浩
•島田晴夫
•菅原茂
•松田道弘
•小野坂東
•真田豊実
•二川滋夫
•山本慶一
•近藤博
•マックスメイビン
•プリンセステンコー
•加藤英夫
•トニービナレリ
•ヒロサカイ
•鈴木徹
•下村知行
•フロタマサトシ

 これだけを見ても、素晴らしい影響力を持った人気マジシャンが名を連ねます。

厚川賞受賞者

 1989年~2005年と、天海賞とオーバーラップする期間もありますが、第2回の天海賞受賞者だった厚川先生が選出した厚川賞受賞者は、以下のとおりです。

•ヒロサカイ
•前田知洋
•谷英樹
•石田隆信
•藤原邦恭
•岸本道明
•カズカタヤマ
•からくりどーる
•ふじいあきら
•和田祐治
•ボナ植木
•豊田聡(奨励賞)
•ゆうきとも
•益田克也

 恥ずかしながら、私からくりどーるも受賞者のひとりではありますが、他の受賞者を見ても、その後有名になった人気マジシャンばかりです。
 つまり、優秀なオリジナルマジックを持つことが人気マジシャンになる道だと、はっきりと示されているのです。

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