【百科詩典】にほんのエンタメしじょう【日本のエンタメ市場】

いったいに、現代の商業メディアは、作品を制作している人間を遇するに当たって、クリエーター本人の「キャラクター」を消費する以外の術をあまりにも知らない。
このことを、私は大変に残念な傾向だと考えている。(中略)
1980年代以降に世に出たクリエーターは、おしなべて自己アピールの上手な人が多い。
というよりも、時代が進めば進むほど、作品が作品として評価されることよりも、作者の知名度が作品のオーラを高めるカタチで売り上げを伸ばしていくケースが目立つようになってきている。
もう少し露骨な言い方をすれば、この国のエンターテインメント市場は、作品を売ることよりも、自分の名前を売ることに熱心な表現者が勝利をおさめる場所になってしまったということだ。

~小田嶋隆「ア・ピース・オブ・警句」