【百科詩典】あいのないつかわれかた【愛のない使われ方】

その思い出さえも、何かにふみにじられたような感じがした。その何かは、きっと、お金だ。愛のない使われ方をしたお金のせいで、この町はこんなふうになってしまった……そういう気がした。外側から急に押し寄せてきたお金の流れは、町の人たちがちょこっと考えたいろんなかわいい工夫や、小さく大切にしてきたことをどっと流してしまった。

~よしもとばなな『海のふた』