オホーツクを離れるとき。

先代の電話から、ある人を紹介したいということで会いに行ったのは、先代が滝川店を再オープンさせて1年半くらいすぎた頃でしょうか。

そのときはコロナ過の最中。先代と会いに行った人は飲食店経営者で、店長不在になったのとコロナ過で経営状況が悪く立て直してほしいというのです。
私は、今の仕事を続けることも将来的に不安を感じていたこともあり、家族に話をすると、いいチャンスではないかというではありませんか。そんな家族の応援もあり、思い切ってその会社に転職をするため、オホーツクを離れる決断をしたのでした。

そして、赴任先の飲食店はラーメン店。そこにいるアルバイトにまずはそのお店のレシピを教えてもらい、一通り作れるようになっていったのでした。
そしてお店の運営全体を把握できるようになった頃、少しずつレシピを更においしくなるような改良やコストダウンなどをしていき、経営状況を安定化させていくのでした。

その半年後にはオーナーの思いつきで「新店舗を契約したから好きに新しい店を作って」といきなり丸投げ状態。
先代のザンギのレシピを使いたいと使用許可をもらいつつ、同じ味にならないようにアレンジを加え、ザンギを中心とした食堂を一から作るのでした。
そんな感じでラーメン店だけの店長ばかりかいくつかの店を任されるようになるのはいいものの、場所が近くではなく、片道100kmの移動。その移動は予想以上にハードなものでした。

そんな移動を休みを利用して行わなければならず、休みに仕事のような生活をしていたために、自分の身体は過労気味になってしまいました。そして、知人の医者に自分の体調のことを相談したことで、「このままではダメだ」と辞め時を考え始めたのでした。

そんな中先代からの突然の電話を受けると『奥さんと別れた、店も閉めた。俺は病院で入院している』と言うのです。
何が起きたのか理解できない私はとりあえず、先代のお店の大家さんに電話してみたのでした。大家さんは『夜逃げ状態になってしまった。片づけに来てくれないか?』というではありませんか。

私は休みを作って夜逃げ状態になってしまった店に行き、愕然としたのでした。

お店全体が油まみれ。壁紙も客席も油でコーティングされてしまった状態で床もモノも油まみれ・・・。

思わず大家さんとふたりでお店の片づけが始まったのですが、想像を超えた状態で、一人では到底無理な状態にどうやって友達を説得し手伝わせるかを考え始めたのでした。
しかしながら大家さんは次に借りる人も決まっていると言うし、その状況からいつまでに片づけるかは、一刻もはやく終わらさなければならないこともありました。
しかし・・・お店の片づけ費用は業者に頼めば数十万では収まらないレベル。仕事もきつい状況に更にきついことが自分に押し寄せてきたのでした。

でも、先代には小さいときから世話になった恩もあったので、片づけるしかないという思いでかたずけ始めたのでした。

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