ChatGPTを使い始めて働き方がどう変わったか

ChatGPTなどの生成AIを業務で使うようになり、半年以上が経ちました。相変わらずほぼ毎日使っていて、生成AIなしでは仕事ができない程度には依存しています。その結果、私個人の働き方も大きく変わりました。今回は、自分の記録程度の目的で何が変わったのかを書き出してみたいと思います。

簡単なPythonが書けるようになった

元々はソフトウェアエンジニアとして、7年ぐらいは業務系システムの開発をしていました。しかし、その後は今に至るまで、10年以上は何もコードを書いていません(いませんでした)。Pythonは一行も書いたことがなかったと思います。

書き始めたきっかけは、GPT-4のリリースだったと思います。試しに簡単なデータ処理のスクリプトを生成したところ、それがそのまま動いて感動したことを覚えています。その体験で調子に乗りw、様々なことを試すようになり、その結果、プログラミングで解決できそうなことがあると、当たり前のように自分ではやらず、また自分ではコードも書かず(そもそも書けない)、迷わずChatGPTやCopilotにコードを生成してもらい目的を達成するようになりました。

ただし、100%そのままで動くわけではないので、ちょっと手を加えたりエラーの原因を調査しているうちに、何となく読めるようになり、簡単なものだったらなんとなく書けるようになってきた気がします。もちろん、変更したりエラー調査をするのも大体はChatGPTに聞くだけで、私はコピペするだけですが。。

もちろん、私がChatGPTとやっている範囲はちょっとしたプログラミングです。信頼性や可用性、セキュリティなどを担保するソフトウェアエンジニアリングでは決してありません。ただ、なんとなく書けるようになっただけでも、私にとっては仕事の仕方を変える大きなきっかけだったなと思います。

企画の立て方やプロダクトの開発の仕方が変わった

私はすぐに調子に乗るので、なんとなくPython読み書きができる気になってくると、単なる興味だけで、頼まれてもいないのに業務の幅を広げてみました。

例えば、AIモデルを自分で試すようになったのもその1つです。Hugging Face上にUIがあるものは試していましたが、UIから試すだけでは色々なパターンで効率よく試すのが中々難しいです。特にLLMなど生成AIのモデルは、日々新しいモデルが公開されているので、毎回UIから何となく触っていてはモデル間の比較も難しく作業効率もよくありません。

Pythonがなんとなく書けるようになったことで、例えば、プロダクトでの利用方法に基づいてChatGPTでテストデータを作り、そのデータをインプットしてLLMを動かすスクリプトをChatGPTで書き、それぞれのモデルでのアウトプットの違いを確認する、ということをするようになりました。ChatGPTがなければ、おそらく自分であまり試すことなく、ネットの情報を見たり数回試すだけなど雰囲気を理解するだけだった気がします。

そして、スクリプトが書ける(生成できる)ようになってくると、新しいプロダクトや新しい機能のプロトタイプも自分で作るようになりました。特に生成AIを使ったプロダクトを企画する際は、最初の段階で企画書を作りこんでもあまり意味がなく、まずはそのアウトプットの品質や、そのアウトプットを使ったユーザー体験を感覚的に見ることが重要です。

その初期段階のプロトタイピングは、ChatGPT/Copilotがあれば自分ひとりでできます。企画段階でプロトタイピングをするので、開発を行う時点で多くの機能要件については実装レベルで決まっています(動くものを作っているので)。もちろん、非機能要件を満たしていない、そもそも実サービスはPythonじゃないなど様々な要因で、プロトタイプのコードをそのまま使うことはほぼありません。ただドキュメントだけで企画を考えるよりはるかに効率的・効果的だと思います。もちろん、ボツにするものも大量にありますが、一人でやっているので、いまいちだなと思ったら感情レスで即座にボツにできますw

また、リリース後のデータ分析もほとんど自分で行うようになりました。SQLを書いたり、複数のデータソースから取得したデータを組み合わせて分析するスクリプトを書いたり、またアプリレビューなど非構造化データの分析まで、データ分析は一人でやっています。データ分析も、仮説を立ててデータを見て、そのデータから新たな仮説が生まれる、ということはよくありますが、一人でやっているので気の済むまでデータ分析できます。

ということで、AIモデルを試して直接理解するところから始まり、その技術理解とユーザー理解の元でプロトタイプを作り、その後の分析までChatGPTとCopilotに依存しまくりながらやっています。大きな組織であれば、多くの人と一緒にやっているような気がしますし、こんなにもChatGPTに頼っていなかったかもしれませんが、スタートアップなので仕方ありません。小さいチームだからが故に、ChatGPTを使うようになったとポジティブに捉えています。(そう努めています)

業務の範囲が広がり、業務量は増え、業務時間とモヤモヤが減った

前述のように色々とやっていることが広がりました。とはいえ、ソフトウェアエンジニアのように深い開発をしているわけではないので開発者でもなく、今やっていることがPMの仕事なのかというとそれもよくわかりません。今、自分が行っている範囲の仕事を表す役割名はよくわかりませんし、広げ方が正しいかはわかりません。

ただ、結果としてスピードは確実に上がっているので問題ないと思います。多分ですが。また、色んなことをやるので個人的にはとても楽しいです。

当たり前ですが、やることが広がったので個人としての業務量はかなり増えました。一方でトータルでの業務時間は減っているような気がします。それぐらいChatGPT/Copilotに頼りきりです。おかげで、どれだけ雑なプロンプトで得たい結果を得るか、という能力が身につきましたw 私のChatGPTの履歴を見ると世間で書かれているプロンプトテクニックとは真逆ですw (もちろんプロダクトに組み込むときはちゃんと書きます)

またこれも当然ですが、個人でできる範囲が増えたことで、コミュニケーションコストとモヤモヤは非常に減りました。モヤモヤといっても人間関係から来るようなものではなく、自責の念から来るモヤモヤです。これぐらい自分(私)でできたらいいのに、というタスクが自分(+ChatGPT)でできるようになったことで、申し訳なく思うことがとても減りました。

たとえば、先ほどのプロトタイプ開発で言えば、PMの観点では、何を試してみたいかそのアイデアはあるが動くものは作れない、ただし具体的な仕様を問われてもまだ自分の中でもぼんやりしているのですべて言語化できないなぁ、という状態。一方、エンジニアの観点では他の人の試行錯誤に付き合わされるのはあまり面白くない、そしてプロトタイピングに技術的な面白さはあまりない、けど仕事だからやる、といった状況です(私がエンジニアの時は私は良く思っていましたw)

それをPMが一人でできるようになることで、コミュニケーションの絶対量だけでなく、フラストレーションがたまりやすいコミュニケーションを減らせたように思います。(みんな私よりいい人なのでフラストレーションを感じていないかもしれませんが。。)

仕事も増えた

そんなことをしていると?、人生で初めて副業をするようになりました。業務やプロダクトでChatGPTなど生成AIをどう活用していくか、その推進をご支援させて頂いています。ChatGPTがリリースされる前から生成AIをプロダクトで活用していた経験を買っていただいた、という側面もあるかもしれませんが、ChatGPTを活用したノウハウが副業先でもそのまま活きています。

rinnaはまだまだスタートアップで小さい組織ですが、副業先はかなり大きな組織です。rinnaではマネジメントの役割ですが、副業先ではIC(個人での貢献を期待されている)です。生成AIを活用するという観点で必要な知識は非常に近い一方、文化・期待値・役割は全く違います。違う役割で仕事をすることは慢心の気持ちを抑制し、自分を律する意味でもとても有意義に感じます。仕事量はただただ増えてますが。。。

最後に

生成AIを使っているからすごい、使っていないから遅れている、などとは全く思いません。ただ、私みたいに、やりたいことが多いが大して早くできない人間にとって、多くのことをほぼゼロの時間で対応してくれるChatGPTやCopilotは、適切な表現が見つからないぐらいには頼りになる存在です。

まとめますと、ChatGPTを使い始めてこの半年で変わったことは、Python初心者になり、業務内容と仕事が増え、結果、知的好奇心が満たされ、適度に自制を促される環境が作れた、ということでした。

1年前からこの1年で起こった変化を考えると、次の1年後はどうなっているのかよくわかりませんが、楽にできることは可能な限り楽に行い、今後起こる多くの変化を楽しむ時間にあてていきたいと思います。



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