コンゴ民主共和国生まれ、現在はモントリオールで活動する、ピエール・クウェンダースのセカンド・アルバムのライナーノーツを担当しました。

コンゴ民主共和国生まれ、現在はモントリオールで活動する、ピエール・クウェンダースのセカンド・アルバム、『ピエール・クウェンダース / マカンダ・アット・ジ・エンド・オブ・スペース、ザ・ビギニング・オブ・タイム』のライナーノーツを担当しました。

Shabazz Palaces のテンダイ・マレールが共同プロデュースした今作は、アフロ・ポップと定義するのは憚られるほど、未来を見つめた強固なポップ・ミュージック作品です。

プロデューサーでもあるShabazz Palaces のテンダイとの楽曲制作の過程や、制作する上で影響を受けたミュージシャン、自身と共振する新しい音楽を生み出しているオススメのミュージシャンなど、イギリス・ツアー中だったピエール・クウェンダースへのインタビューも交えた内容のライナーノーツとなりました。
今年、ピエール・クウェンダースは、アーケイド・ファイアと共に、ハイチ支援団体のためのフェスティバルを行ったり、主要フェスへ出演したりと意欲的な活動をしていましたが、このアルバムが話題になったことで一気にモントリオール以外の都市からのオファーが殺到しているそう。

もともと、前作のファーストアルバムも、ジュノー賞やポラリス賞とカナダの主要音楽賞レースにノミネートされるほど、カナダ国内では評価されていましたが、この『マカンダ・アット・ジ・エンド・オブ・スペース、ザ・ビギニング・オブ・タイム』は、ワールド・ミュージックというカテゴリーを超越することを目的とした、ピエール・クウェンダースにとっても勝負に出た意欲作。
参加メンバーはShabazz Palacesのテンダイイシュマエル・バトラーTHEESatisfactionサッシー・ブラック、ガーナ出身でピエール・クウェンダース同様にカナダで活動中のラッパーKae Sun、ケニア出身のジャズ・トランペッター、ウオア・アルンガなど、ワールドワイドに活躍している面白いミュージシャンばかり。

コンゴの音楽的特長でもある「ルンバ・コンゴレース」を、現代のビート・ミュージックやトラップに落とし込み、その新しいリズム・フィールのうえを、フランス語、英語、リンガラ語、ルバ語と四つの言語を駆使した歌と、合唱団に所属していた経験を生かしたコーラス・ワークが繊細に重ねられていく楽曲群。汎アフリカ的なダンス・ミュージックと、現代の最新型のポップ・ミュージックへのアプローチ、そして自身のディアスポラな部分を絶妙なバランス感覚で表現した、ピエール・クウェンダースにしか出来ないルーツと未来を融合した音楽です。

アフリカの国々で、にわかに地殻変動のように新しい音楽が生まれ動き始めてきた2017年。ピエール・クウェンダースのように、アフリカにルーツを持ちながら、アフリカに所属できないミュージシャンだからこそ生まれた、新しい感覚のポップ・ミュージックも世界各地でうごめいてきました。ピエール・クウェンダース『マカンダ・アット・ジ・エンド・オブ・スペース、ザ・ビギニング・オブ・タイム』を聴いて、その胎動を感じてください。

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松林弘樹
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