【全文書き起こし】2020年10月9日菅総理グループインタビュー(毎日・朝日・時事)
昨日10月9日の夕方に行われた菅総理への約30分間の「グループインタビュー」の全文を書き起こししました。
このインタビューは部屋の奥に菅総理が座り、その周りに毎日・朝日・時事の3社の記者(各1名)が座った形で質問をし、その様子を同じ室内の離れたところで内閣記者会常勤幹事社の記者が傍聴し、さらに内閣記者会常勤幹事社以外の記者のうち抽選に当たった人が別室の記者会見室で傍聴する(音声のみ、映像なし)という形式で行われたようです(部屋の様子)。
このインタビューの内容を知ったのはインタビュー終了後に3社が出した記事を読んでのことでしたが、それらに記されていた総理の日本学術会議関連の回答にかなり違和感を感じました。記事だけを読んでもよくわからないところもあり、また、記者からさらに深掘りした質問があったのかどうかについても知りたいと感じました。
・毎日新聞:菅首相、105人の名簿「見ていない」 任命再考は改めて否定(18:51)
・時事通信:菅首相、推薦リスト「見てない」 会員任命で信条考慮せず―学術会議会長と面会も(19:49)
・朝日新聞:6人除外前の名簿「見ていない」 菅首相インタビュー(20:06)
そんなことを思っていたところ、仏リベラシオン紙などの特派員をされている西村カリンさんがいわゆる「別室」での傍聴に参加され、インタビュー全体の音声を録音し、SoundCloud上で公開されていることを知りました。
音声を聞いてみたところ、これは自分で全文書き起こしの労をとってでも多くの方に読んでもらったほうがいい内容だと感じました。
もっと早く気づければ良かったのですが、音声の存在に気づいたのが遅い時間だったので、色々と用事を済ませた後に朝4時までかけて文字に起こしました。その上で、今日の午前中に西村さんにも事前に音声の書き起こしを公開させていただきたい旨をご連絡し、承諾を得て、この記事を公開しています。書き起こしの後には西村さんからいただいたコメントも掲載しています。
前置きが長くなりました。インタビューの内容について事前にコメントをすることはしませんが、どんな質問に対しても繰り返される「長期的・総合的・国際的〜」とか、「総合的・俯瞰的〜」とか、そのほか事前に用意されていたであろう定型的なくだりを何度も何度も聞き続けてかなりくたびれたのは事実です。
ではどうぞ。誤字などがあれば随時修正します。(音声のみからの理解ですが、最初に毎日、朝日、時事の順で一問ずつ質問し、その後は順不同で質問していたようです)
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<文字起こし開始>
――(毎日新聞)本日はよろしくお願いします。まず最初に日本学術会議の会員の任命の問題についてお伺いいたします。今日、河野大臣と井上大臣がそれぞれ学術会議を行革の対象として検証を行うと表明されました。総理ご自身は先日のインタビューで、現会員による推薦について、事実上の後任指名が可能な仕組みだと問題視をされ、省庁再編時にあり方そのものが議論になったことにも触れておられました。現状でまあ、今後、この会員の推薦制度について見直すお考えはあるのでしょうか。また、学術会議そのもののあり方についても見直すお考えはあるのでしょうか。お聞かせください。
まず、これまでも、まあ説明をしておりますように、日本学術会議については、法律に基づいて、内閣法制局にも確認の上で、学術会議の推薦者の中から、総理大臣として指名、任命をしているものであると思っています。この日本学術会議は、政府の機関であって、年間約10億円の予算を使って活動していること。また、任命される会員は公務員の立場になること。また、会員の人選は、推薦委員会などの仕組みがあるものの、現状では、まあ事実上は、現在の会員が自分の後任を指名することも可能な仕組み、こうなっている。まあ、こうしたことを考えて、推薦された方々がそのまま任命されてきた前例を踏襲をしていいのかどうか。まあそうしたことを考えてきたということであります。それで、これ、2001年の省庁再編の際に、この相当の議論があったということで、その議論の中で、長期的・総合的・国際的観点からの提言が求められており、俯瞰的な視点を持って、社会的課題に向き合うことができる制度、まああの、できる人材が望ましいという風に思っています。今回、日本学術会議の役割に関心が集まっています。まあこれを機会に、日本学術会議のあり方、良い方向に進むようなら、そうしたことも歓迎はしたいと、このように思っています。
――(朝日新聞)よろしくお願いします。日本学術会議のですね、任命除外問題の経緯についてお伺いします。2016年から、推薦決定前に官邸側が難色を示す事例が複数確認されています。政府としてはいつ、何をきっかけに、形式的任命をですね、取らなくなったのでしょうか。また、今年の6人の除外について、安倍前総理からこの案件の引き継ぎを受けたのはいつで、引き継ぎの時点で6人の任命除外は申し送りがあったのでしょうか。お願いします。
あの、まず、この内閣府で、その、日本学術会議の会長が、中で、この会議のあり方などを、そうしたことも、やり取りは、当然行ってきているという風に思っております。そうして、今までの経緯の中でですね、その、総合科学技術会議の意見具申によれば、日本学術会議は、科学者の知見を集約をして、長期的・総合的・国際的観点から、行政や社会への提言を行うこと、総合的・俯瞰的な観点から活動すること、こうしたことが求められてきています。で、さらに平成27年の内閣府の有識者会議においては、日本学術会議の会員は自らの専門的分野の枠にとらわれない俯瞰的視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい。まあこうしたこととされてます。こうしたことを踏まえて、法律に基づく任命を行う際にはですね、総合的・俯瞰的な活動、すなわち、広い視野に立ってバランスの取れる活動を行っている。国の予算を投じる機関として、国民に理解される存在であるべき。まあ、こうしたことを念頭にですね、その、内閣府等で、そうした議論をしていることは事実じゃないでしょうか。
――すみません、安倍前総理からの引継ぎというのはあったのでしょうか。
あの、ありません。
――じゃあご自身で今回決断をされたということ?
あの、そうした一連の流れの中で、判断をしたということであります。
――(時事通信)引き続き、学術会議について伺います。学術会議側は6人の任命を見送ったことについて説明を求めてます。総理自身が梶田会長とお会いし、直接説明される考えはありますでしょうか。
今も申し上げましたけど、日本学術会議については、省庁再編の際にですね、そもそも必要性を含めて、そのあり方について相当のこれ議論が行われた経緯があります。その結果として、総合的・俯瞰的な活動を求める、まあそういうことになった経緯です。さらに、この総合的・俯瞰的活動を確保する観点から、日本学術会議にその役割を果たしていただくために、まあふさわしいと判断をされる方を任命をしてきました。こうしたことを、今後もですね、まずは丁寧に説明していきたいという風に思います。また、梶田会長とはですね、まあ日頃から、これ事務局との間で、これ取っているという風に思いますが、会長がお会いになりたいということであれば、私はお会いをさせていただく用意というのは持っております。
――今おっしゃったその「総合的・俯瞰的な活動」ということなんですけれども、どうしてもなかなか国民の方々にはわかりづらい部分だと思うんですが、総理としては具体的にどのような活動を求めているということなんでしょうか。国民にもわかりやすいような判断材料をお示しいただければと思います。
ええ、今申し上げましたようにですね、この日本学術会議、ここをどうするかということで議論があったわけです。それで、まあ科学者の知見を集約をして、まあ長期的、また総合的に、国際的観点から、行政や社会への提言を行うこと。そして総合的・俯瞰的な観点から行動すること。このことが議論の中で求められてきたわけです。さらに、平成27年の内閣府の有識者会議においては、日本学術会議の会員は、自らの専門分野の枠にとらわれない俯瞰的な視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい、これ有識者会議でそういう方向出されてます。で、これを踏まえて、法律に基づいて任命を行う際には、総合的・俯瞰的な活動、すなわちですね、広い視野に立ってバランスの取れた活動を行い、国の予算を投ずる機関として、国民に理解される存在であるべきこと。こうしたことをやはり念頭に置きながら、これは判断を行う必要がある、こういう風に思います。
――そういう意味では6人の方というのはそこに当たらなかったということでよろしいですか。
今私が申し上げた通りです。すなわち、広い視野に立ってバランスの取れた行動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきこと。こうしたことを念頭にこれ全員判断をしていると、まあそういうことです。
――すみません、今の関係ですが、専門分野以外の業績が考慮されるということですけれども、具体的にはどのような業績が考慮されるということなんでしょうか。
今私が申し上げましたように、自らの専門分野の枠にとらわれない俯瞰的な視点を持って、社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい。こうしたことを平成27年の内閣府の有識者会議において、こうした意見をいただいています。ですから、これらを、こうしたことを踏まえてですね、法律に基づいてこれ任命を行うわけでありますから、その際には、総合的・俯瞰的な活動、今申し上げましたけど、この総合的・俯瞰的な活動ちゅうのは、やはり、すなわちこの広い視野に立って、バランスの取れた活動を行い、国の予算を投ずる機関として国民の理解をいただく存在であるべきだと。まあ、こうしたことを念頭に置いてですね、まあ判断をするということが自然なことじゃないでしょうか。
――バランスの取れた活動ということの中にですね、例えば学者個人の思想信条が影響するということはあるんでしょうか。
それはありません。
――今回の会員の推薦・任命手続きについては、なかなかわかりづらいところもあるんですけれども、今後その、会議のあり方を見直して、法律の改正を考える可能性もあるんでしょうか。
まず、今申し上げましたけど、この、かつて総合科学技術会議の意見具申には、日本学術会議、これ総合科学技術会議の中で意見があったわけです。それについては、科学者の知見を集約し、長期的・総合的・国際的観点から、行政や社会への提言を行う、こういうことがこれ求められています。そして今申し上げましたけど、27年の内閣府の有識者会議においては、この学術会議の会員というのは、自らの専門分野の枠にとらわれない俯瞰的な視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい、こうしたことも報告をされてます。そして、こうした観点に立った上でですね、日本学術会議は、これ政府の機関でありですね、年間約10億円の予算を使って行動していることやですね、任命されるこの会員の方はですね、公務員の立場にこれなるわけでありますから、国民の皆様から理解される活動をいただく必要があるという風に思っています。
――1983年度の中曽根元総理の国会答弁などもありますけれども、その当時、内閣総理大臣官房参事官の答弁では、210人の推薦をそのままその通り、総理が形式的な発令行為を行うと解釈しているという答弁があるんですけれども、それに関して解釈が変更していないと政府側はずっとお答えになっていますが、それで間違い無いのでしょうか。あと、解釈は変更しないまま、全員任命するという前例を踏襲せずに、今回そのいわゆる運用を変更したということなのでしょうか。
あの、これは、毎日の官房長官の記者会見でもこれ説明をしているという風に思っています。まあ、国会答弁でも局長から説明させていただいていますが、憲法第15条の規定に明らかにされている通りですね、公務員の選定は、国民固有の権利であり、任命権者たる内閣総理大臣として責任をしっかり果たしていく、こういう一貫した考え方に立った上で、まあ法律に基づいて任命を行ってきているものでありですね、解釈変更を行っているものではないという風に思ってます。またその上で、推薦された人を、そのまま任命されてきたことについてはですね、これまでそうした前例を踏襲をして良いのかという思いがあってですね、日本学術会議がこれまで言われてきたような、総合的・俯瞰的活動、いわゆる今申し上げましたけれど、広い視野に立ってバランスの取れた活動を行い、国の予算を投ずる機関として、国民に理解される存在であるべきという、まあこうしたことを念頭に判断をさせていただいているということです。
――すみません、関連しまして、83年の国会答弁についてですが、このときは国会で、表で、オープンに議論されています。今回ですね、18年に内閣府と法制局の方で運用を変えたということですが、これは本来国会の方でオープンに議論されるべきだったんではないでしょうか。
まず、今申し上げましたように、変更しているということでありませんので、この、憲法第15条の規定に明らかにされているように、公務員の選定は国民固有のこれ権利であって、任命権者である内閣総理大臣として、これ責任をしっかり果たしていくというこれ一貫している考え方でありですね、法律に基づいて任命を行ったものであり、解釈変更を行ったものではない、こういう風に思っています。
――その重大な決断をする中において、やはり国会の方でオープンに議論されるべきではなかったのかという質問なんですが。
あの、解釈の変更は行ってません。
――話題変わります。11月1日に住民投票が行われます大阪都構想なんですけれども、総理のお立場、見解をお聞かせください。また、維新の会が訴える大阪の副首都化や道州制への総理のお考えはいかがでしょうか。
まず大阪府は昨年まで、まあ全国でインバウンドが伸びる中で、まあ宿泊者数など、全国第2位で、その消費額8000億円などですね、まああの元気になってきていると思います。また行政においても、大阪市の職員数は実質的に1万5千人の削減、実現をしてます。こうした市の工夫や頑張りが地域を元気にしていく、まあこうしたことを期待をしたいと思います。またいわゆる大阪都構想でありますけれども、これは二重行政の解消などを目的とするものと認識しておりますけれども、これはあくまでも法律によって地域の判断に委ねられるというものになってますので、地域の関係者の間で真摯な議論、これが行われる、こうしたことを期待をしたいという風に思います。
――話題また戻るんですけれども、今回学術会議に任命されなかった6人に関しては、今後もこの6名を任命することはもうこの先ずっと無いということなんでしょうか。それとも、状況であったり、それぞれの活動内容であったり、変更があれば、改めて任命する可能性があるんでしょうか。
まああの、これ官房長官を通してあげてますように、今回の10月1日に99名の方をこれ任命しておりですね、今般の任命手続きは終了したという、こういう風に考えています。今回の任命について変更するということは考えておりません。
――今後の任命の際に、この6人の方、また3年後であったり、この6人の方が出てきた場合には、対応が変わる可能性はあるんでしょうか。
まず仮定の質問でありますので、ここは控えさせていただきたいと思いますけれども、まあいずれにしろ、法律に基づいて任命を行う際にはですね、日本学術会議がこれまで言われてきたように、総合的・俯瞰的な活動、いわゆるこの幅広い視野に立ってバランスの取れた活動を行い、国の予算を投ずる機関として、国民に理解される存在であるべきである、こうしたことを念頭にこれやはり判断をしていく、まあこういうことになるだろうと思います。
――日本学術会議の軍事研究についてお伺いしますが、17年に会議は軍事研究に協力しないという声明を出したことをですね、現在総理はどのように評価されていますでしょうか。また日本の大学は軍事協力に門戸を開くべきだとお考えでしょうか。中国や米国の状況など国際状況を踏まえた上でお聞かせください。
まず、今、先ほど来申し上げてますけれども、日本学術会議のあり方ということに省庁再編の際にですね、これ、相当な議論があって、その議論で、長期的・総合的・国際的観点からの提言、これ求められてます。そして俯瞰的な視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましい、こうしたことがこの2001年の省庁再編の際に話し合われました。日本学術会議の役割に今非常に関心が集まっています。これを機会にですね、学術会議のあり方というのが良い方向に進むようなら、そうしたようなことは歓迎をしていきたいという風に思います。
――具体的にその「総合的・俯瞰的」の中に軍事研究というのが入る可能性はあるんでしょうか。
あの、先ほど申し上げましたように、幅広くですね、広い視野に立ってバランスの取れたということであります。そうしたことに対してでですね、まあしっかり対応していくことが大事だという風に思います。
――マイナンバーカードについてお伺いします。なかなか普及が進みませんが、マイナンバーカードと預貯金口座との紐付け・連結の義務化について総理はどのようにお考えでしょうか。また義務化する場合は、紐付けを拒否した場合の罰則はあるのでしょうか。
まず、役所に行かなくてもあらゆる手続きができる、そうした社会を実現するためにですね、マイナンバーカードというのは不可欠だと思っています。しかしその普及が今進んでおりませんので、行政のデータ化の鍵であるマイナンバーカード、今から2年半後には、ほぼ全国、全国民に行き渡ることを目指して、普及策を、これは加速してまいりたいと思います。また、新型コロナウイルスに際して10万円の給付金を契機に、行政のデジタル化、こうしたことの必要性というのが改めてこれ認識をされているのが現状だと思います。預金口座との紐付けについて、専門家も参加するワーキンググループにおいても検討項目となっており、年内に結論を得るべく、関係省庁で検討を今進めているところです。
――学術会議なんですけれども、そのこれを機会にあり方が良い方向に進むようなら歓迎したいということなんですけれども、総理が主体的にあり方の見直しに関して検討を指示されたりするお考えはあるんでしょうか。
あの、私からというよりも、今、党の方でも、政調会長のもとで、このあり方について、いろんな議論をしているようであります。まあ、そうしたことをしっかり見ながら、という風になっていくと、という風に、与党と連携をしていくという形になっていくんだろうと思います。
――今の段階で総理からすぐご指示を出されるお考えというのは。
あの、私から、今で、そのあり方ということについて、指示することは、考えていませんけれども、まあ行政改革の観点から、河野大臣が、これ全体の行政改革の中で、取り上げることちゅうことじゃないでしょうか。
――学術会議のあり方論に引き続きお伺いしたいんですが、安倍政権時代の内閣府特命担当大臣のもとに設けられた有識者会議が2015年にまとめた報告書で、「変える理由は見出しにくい」という風にしております。また事務局体制の増強も指摘されています。今日、河野大臣が会議の見直しに言及されているのですが、この間に方針が変わったということなんでしょうか。
あの、方針が変わるよりも、現実的に、確か210人の学術会議の中で、事務局員が確か52人ほどいると言われています。国費がこれ投入されてますので、そうしたことも含めて、河野大臣が、まあ全体の、ここも一つの国の機関ですから、これ独立すれば全く別ですけれど、そうしたことで、全体を河野大臣が、この行革の視点で、これは行っていくことが、これは行革大臣としての、ある意味では当然のことじゃないかなという風に思います。
――GoToトラベルについてお伺いします。東京発着対象が遅れて始まったことなどから、公明党の山口代表が期間の延長を求めていますが、総理の考えをお願いします。
まず、コロナ対策については、感染拡大防止と社会経済活動の両立を実現すべく、これ取り組んできてます。特に、ダメージの大きい観光関係事業、これ回復する、このことは地方が今厳しい状況にあるときに極めて重要だという風に思います。そういう中で、私自身、7月にGoToトラベル事業を判断をしました。さらに10月1日より、東京都を発着する旅行についてもですね、支援の対象に含めたことに加えて、宿泊以外のお土産屋さんでも使える地域共通クーポン、この利用も開始をさしていただいたところです。まあ本事業の実施状況ですけれども、7月の中旬に初めて、9月15日までで、延べ1600万人の方にご利用いただいてます。まあそういう中で、当初色々心配されましたが、新型コロナウイルスの陽性が判明した方は25名であります。まあ引き続き、こうしたことも踏まえて、まあ適切に運用してまいりたいという風に考えてます。その上で、この割引販売については、予算の執行状況だとか、あるいはコロナの感染状況、さらに、観光需要、そうした状況などを見ながら、当面しっかりと実施していきたいという風に思っています。そして、その先については、今私申し上げましたように、そういう状況だとか、いろんな面を考える中で、判断をしていきたい、このように思います。
――また学術会議なんですが、総理が、まあ先ほど安倍総理からの引継ぎはなかったということなんですが、最初に案をご覧になったのはいつ誰からの報告だったんでしょうか。その時点では105人の名前が載っていたんでしょうか。
あの、私がいつかということは、確か、9月のにじゅう…、ちょっとすみません間違っちゃうとあれですから。9月の…。これ内閣府が今まで説明してますけど、私が最終的に決裁を行ったのは9月28日です。で、会員候補のリストを拝見したのはその直前だったと記憶しております。まあその時点では、現在の最終的に会員となった方がそのままリストになっていたという風に思ってます。
――総理がご覧になった段階ではもう99人だったという。
あの、そういうことです。あの、任命するリスト、でありますから。
――任命するその前の推薦段階でのリストはご覧になってない?
見てません。
――東日本大震災の復興についてお伺いいたします。震災や原発事故の教訓を伝える目的で、福島県の双葉町に開館しました、東日本大震災原子力災害伝承館についてなんですけども、この伝承館をめぐってですね、館内で活動する語り部の方が、話す内容についてですね、特定の団体の批判などをしないようにという風に求められていることが判明しています。県などによるとですね、国や東電もその対象ということになるんですが、先日福島県を訪問した際にですね、地元メディアのぶら下がりにも応じられた総理ですが、このような対応についてどうお考えでしょうか。
まず、私、東日本大震災の原子力災害伝承館、訪問しましたけれども、語り部の方の話は私は伺ってません。で、今言われました件、点でありますけれども、まず、これ一般論であれば、震災の体験をされた方が、震災におけるご自身の経験を率直に語ることはこれ極めて重要であるという風に考えます。そうした機会があることは震災を経験していない方々がですね、報道でしか知らない震災をより身近に感じて、自分のこととして考えることにもつながっていくという風に思います。そうした中で、伝承館を運営する福島県においてもですね、こうした考え方を踏まえて、対応しているという風に思ってます。
――首相公邸に入居するかどうかお伺いします。安倍総理のときは入居するかどうかが国会でも問題になりました。菅総理は首相公邸に入る考えはあるのでしょうか。ないとすればその理由をお伺いします。
まず、入居については、現在検討しているところです。また、公邸の使い方についてはそれぞれの総理の使い方があると、こういうことも承知をしてます。まあいずれにせよ、公邸に入るか否かに関わらず、政府の危機管理、それには異論のないように努めるのが私の仕事だという風に思います。
――入ることを検討しているのか、入るか入らないかを検討しているのか、どうなんでしょうか。
あの、入るか入らないかを検討してます。
<文字起こし終了>
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「グループインタビュー」の全容を知ることで、3社の記事を読むだけではわからなかったこと、例えばこんなことがわかるかと思います。
①「自分が名簿を見たときにはすでに99人だった(6人はすでに外されていた)」という趣旨の菅総理の発言は、インタビュー最終盤での質問に対して初めて出てきた回答であったということ。
②また、その回答を受けての記者からの追加の質問はなかったということ。
③結果として、「自分が名簿を見たときにはすでに99人だった(6人はすでに外されていた)」という説明と、その前に何度も繰り返されてきた「総理大臣として法律に基づいて任命した」とか、「総合的・俯瞰的活動を確保する観点からふさわしい方を任命した」とか、「推薦された方々がそのまま任命されてきた前例を踏襲をしていいのかどうか考えてきた」とか、そういった趣旨の話との間にある説明上の「乖離」が解消されないままにインタビューが終わっているということ。
これ以外にも、この音声や文字起こしから様々なことを考えたり、感じたりすることができると思います。
日本で暮らすすべての人たちにとってのリーダーの言葉として、ここで示されたような回答で十分なのか、適切なのか。また、総理が説明責任を果たす場として、こうした閉ざされた形の舞台設定自体が適切なのか。
最後に、西村カリンさんとのやり取りの中でいただいた言葉を紹介して、この記事を終わりにしたいと思います。
このインタビューは本当にひどかった。全く質問に答えない菅総理に対して、記者はその場で「総理、ちゃんと質問に答えて下さい」と言わない事にも違和感がある。まず、何故こんなグループインタビューをするのかを聞くべきだった。理由は全く説明してくれなかった。抽選で「傍聴権利」を貰う事も、完全におかしい。私は記者で、取材したい、自分で質問したい。総理は何度もこんなグループインタビューをしたら、普通の記者会見をしない可能性があると思う。海外のマスコミの記者は総理に質問する機会はほぼゼロになってしまう。総理は事前に伝えられた質問か官邸が想定した質問に原稿を読んで答えるけど、無理がある。今回はまさにその限界だった。30分のインタビューを読めば国民も分かるはずだ。
この記事のサムネイルには西村さんがアップされていた録音機材の写真を活用させていただきました。別室での傍聴という形でインタビューに参加をし、質問する権利が与えられない中でも音声を録音し、届けてくださった西村さんに感謝したいと思います。
様々な取材・執筆のために活用させていただきます。サポートが励みになります。ありがとうございます。