緑光の夜
家に帰って自分の絵を眺め、つい逃げてしまいたくなった
というか僕は逃げた
手のつけようのないつまらない絵なのだ
つまらないのが絵なのか?自分自身なのか?
そんな無駄な関連づけをして自分をへりくだっていじけて、まさにつまらないのは自分なんだよな
描きたいと思う自分と描けば描くほどに自分がダメなんじゃないかと思う不安がぶつかり合ってる
自分がダメなのだと思いたくない
まさに逃げとしか言いようがない
今日はそういう夜だ
描けない画家がやる事と言えば寝るか死ぬか紛らわすか画集を読むかだろう
僕は画集を見た
迷わずこういう時に手に取るのは長谷川利行である
悲しいくらいに美しくほとばしる才能に思わず僕は画集を閉じてしまった
ここでも自分はダメなんじゃないかとか考えてしまった
長谷川利行はなんといっても素晴らしい
上手いとか下手とかそういう話じゃない、こういう画家になりたいと心から羨望の眼差しを向けざるを得ない、画家を志さない方々にも間違いなく同じようなもしくは似たような感覚を想起させるはずである
僕は長谷川利行の絵画に、長谷川利行に感動している
僕にもこんな絵が描ける日が来るんだろうか?
筆を持つのが怖い
きっと僕はまだまだこんな事を考えるレベルにはない
しかし感受性、いわゆる感性で感じ取れるものには自信がある
僕の目は間違いないのだ
その目とその心に沿った画家としての腕を磨かなくてはならない
脅迫じみた、一種呪いに似たものを僕は芸術から感じる
描かなでいると、なぜ描かない?と耳打ちされる
描けば、無言でこちらをつまらなそうに眺めてくる
この感覚わかるかな?
これを紛らわすためにやった事すら裏目に出ている気がしてならない
誰かに助けてもらおうと思う自分の甘さには反吐がでる
そういえば、さっき外を歩いて思ったのだけど今日は緑光の夜だった💁♂️
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