見出し画像

アルメニアとはどんな国?基礎知識編

アルメニア、正式名称「アルメニア共和国(Republic of Armenia)」は、ヨーロッパとアジアのちょうど中間辺りに位置する南コーカサス地域にある小国。

国土面積は日本の関東地方程度しかなく、そこにおよそ300万弱の人々が住み、北はジョージア、東はアゼルバイジャン、南はイランとアゼルバイジャンの飛び地ナヒチェヴァン、そして西はトルコと接しています。

画像1

また地理的に、ヨーロッパ、中央アジア、中東の間に位置することに加え、歴史の中では一部がペルシャ帝国に支配されたり、また一部がオスマン帝国(オスマントルコ)に支配され、さらには20世紀後半までソビエト連邦を形成する共和国であったため、西洋、東洋、旧ソ連の要素が混ざりあった、独特な文化や習慣、そして食べ物を有しています。

最近では、アルメニア人が多く住むアゼルバイジャンとの係争地である「ナゴルノ=カラバフ」または「(アルメニア語で)アルツァフ共和国」と呼ばれる国際的には未承認であるものの、事実上の独立国家を巡って、アゼルバイジャンと「第二次カラバフ戦争(2020年9月27日から11月10日)」が起きたことで注目を集めました。

そんなアルメニアに関する基本知識としては、次のような特徴を抑えておくと良いかと思います。

アルメニアの基礎知識1:世界最古のキリスト教国

詳しくはまた別の記事で書きますが、アルメニアと言った時に一番最初に思い浮かべたいのが、アルメニアは「世界で最も最初にキリスト教を国教に制定した国」であるという点です。

アルメニアは西暦301年に、どの国よりも先駆けてキリスト教を国教として受け入れ、この事実はまた、アルメニア人にとっては非常に重要なアイデンティティの一部となりました。

現在でももちろんアルメニアの国教はキリスト教です。

画像2

(アルメニア使徒教会の大本山「エチミアジン大聖堂」)

ちなみに、アルメニアの北に隣接し、最近はシュクメルリなどの料理やノマド天国として有名なジョージア(グルジア)は、キリスト教を337年に国教と制定し、世界で二番目のキリスト教国となりました。

アルメニアの基礎知識2:海がない内陸国

アルメニアは地理的に周りをその他の国に囲まれており、海には面していない内陸国です。

この地理的な要因によって、アルメニアは貿易活動が困難であるなど、様々な制約を受けています。

このことはまた、魚介類が手に入りにくい(手に入ったとしても高かったり、鮮度に欠ける)ことを意味し、特に海鮮料理が好きな日本人にとっては、少し物足りなさを感じることがあるかもしれません。

アルメニアの基礎知識3:隣国の2ヶ国とは最悪な関係

また、内陸国というだけでなく、周囲を囲む4ヶ国のうちトルコとアゼルバイジャンとは外交関係が結ばれておらず、国境が閉じられており、事実上の敵対関係にあるという点も、アルメニアに興味をもったら必ず抑えておくべきです。

これは複雑な歴史的背景によって生まれてしまったことで、簡単には解決出来る問題ではなく、アルメニアの発展を妨げる大きな原因となっています。

アルメニアの基礎知識4:言語はアルメニア語

アルメニアはかつてソ連を構成していた共和国の一つであり、現在でもロシアとは強いつながりを持っているため、ロシア語が普通に通用しますが、現地での公用語はアルメニア語となっています。

アルメニア語は英語やスペイン語と同じ「インド・ヨーロッパ語族」に含まれますが、この言語だけで一つの「語派」を構成するなど、他のインド・ヨーロッパ語族とは異なる特徴を多分に含んでいます。

いくつかの興味深い特徴を挙げると、

1. アルファベットがとても独特(タイやカンボジア文字に見た目が近い)
2. 語順は英語よりも日本語に近いことが多々ある
3. 周辺地域や歴史的な影響から単語にはトルコやロシア語を起源としたものが多く含まれる

などなど。

画像3

また、アルメニア語には日本語には存在しない「音」が多く含まれるので、その点で流暢に喋る上で苦労する日本人が多そうです。

アルメニアの基礎知識5:海外に国内より多くのアルメニア人がいる

アルメニア人の特徴の1つとして「ユダヤ人に似た背景を持つ」という点が挙げられます。

アルメニア人はユダヤ人のように、迫害されてきた歴史を持ちます。

そしてこの結果、歴史の中でアルメニア人の多くは世界中に散らばり、世界各国で離散民(ディアスポラ)として暮らしています。その数はアルメニア国内の300万弱に対して、なんと700〜1000万人と言われます。

一方で、このことはアルメニア人にとっては一つの強みになっています。

ユダヤ人と同じように、アルメニア人にはアルメニア人による国際的なネットワークが存在し、世界の様々な地域から情報が持ち込まれたり、必要な時には支援の手が差し伸べられるんです。

ただし、ユダヤ人のネットワークに比べたら、アルメニア人のネットワークはそこまで強くないかもしれません。

アルメニアの基礎知識6:シンボルのアララト山

画像4

今でこそトルコ領に組み込まれていますが、かつてアララト山はアルメニア領に含まれていたこともあり、歴史の中で長い間、アララト山周辺には多くのアルメニア人が住んでいました。

アルメニアに来ると分かりますが、至る所にアララト山をモチーフにした作品を見かけます。

そして、アララト山はアルメニア人にとって、現在でも聖なるシンボルであり、アルメニア人としてのアイデンティティの一要素となっています。

一方で、アララト山はノアの方舟が流れ着いた場所として有名で、アルメニア人の中には自分たちをノアの子孫だと信じる人もいるんです。

アルメニアの基礎知識7:通貨はドラム(AMD)

アルメニアの通貨はドラム(AMD)です。

実は歴史的にとても価値が安定している通貨で、周辺地域はもちろんのこと、遠く離れた日本円と比べても安定しています。

最近起こった第二次カラバフ戦争の影響で、戦争前と比べて米ドルや日本円に対して価値を落としていますが、それでも下落率は5〜7%程度です(12月3日現在)。

その他アルメニアに関する基礎知識

・正式名称:アルメニア共和国
・人口規模:300万人弱
・国土面積:約29,800㎢(関東と同じぐらい)
・言語:アルメニア語
・宗教:キリスト教
・一人当たりのGDP(名目):4527ドル(2019年)
・日本との時差:5時間
・国際電話国番号:+374
・独立日:1991年9月21日(ソビエト連邦より)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?