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「六道警備隊」第二話

第二話「六道悲恋」
回想シーン
ヴァルナが麗の襟首を掴み口元に引き寄せる
ヴァルナ「まずは、前菜からいただきますー」
麗「きゃーやめて助けてー」暴れる麗
手脚をバタバタさせ抵抗する、つま先がヴァルナの前歯を直撃する
「うっ痛たたた」
その瞬間、ブレザーとYシャツからすっぽ抜け、上半身下着のまま
落下する麗『スポーン』『ドッス』胸元を隠し、尻もちを搗く
駆け寄る愛子「麗ちゃん!これ着て」愛子がブレザーを脱ぎ麗に掛る
麗「えっ、何?はっ恥ずかしい」顔を赤らめる、と同時に
『ドッガーン』分厚い鉄の扉、内側に厳重に巻き付かれた鎖に南京錠が
爆音と共に破壊され、麗と愛子は右隅のドラム缶が積んだ場所に避難する「麗ちゃん、しっかりあそこに隠れよう」
回想シーン終了

牛頭「えっーじゃあ、さっきの話、聞いてたでウッモー?」
愛子「うん、大好きな愛ちゃん?」
顔を真っ赤にし鼻息が荒い牛頭『ふっーふっー』
麗「韻虎さん、初煩悩の麗ちゃんて?なんですか?」
韻虎「うっ、こんな時に再び煩悩ガゥオー」
ヴァルナ「ほうほう、盛り上がってますなー恋バナ」
「六道間の恋はご法度じゃーないんですか?」
「あたくしも、仲間に入れてくださいよー」
『ザッ』胡坐から立ち上がるヴァルナ十尺はある巨漢、緊張感が戻る
韻虎「牛頭!気を付けるでガゥオー」
牛頭「こいつも、おいらがやるでウッモー」
牛頭がいきなり飛び出す「チュチュラヴ隕石でウッモー!」
※恐竜を滅ぼした悪魔の尻尾と言われる隕石
ヴァルナの顔面を直撃する『グッシャー』顔面が崩壊
首なしの胴体が仰向けに倒れる
牛頭「へへーん、どんなもんでウッモー」どや顔をする
愛子「牛頭ッチ、強い!」
韻虎「うーん、あっけなかったでガゥオー」
麗「あっー!大変、韻虎さん、後ろー」
びっくりする麗の声に後ろを振り向く韻虎「うっ、ガゥオー」
牛頭「なっ、なんでウッモー?」
潰れたヴァルナの顔面がみるみるうちに蘇生していく
『ジュルン、ジュルン』
ヴァルナ「ひどいなー、男前が台無しじゃーないですか」完全復活する
韻虎「今度は、俺がやるでガゥオー」金棒を振り回し、電撃と共に
ヴァルナを切り刻む
ヴァルナ「おい、おい、君たちのナマクラ棒じゃ、あたくしを倒すことは
できませんよー」切った部分が、みるみる蘇生されていく
『ジュルン、ジュルン』
 

閻魔王庁
浄瑠璃の鏡でヴァルナとの戦闘を見守る閻魔大王と馬頭羅刹
馬頭「閻魔大王、奴は不死身でバヒーン」
閻魔「阿修羅族の能力は、天道界の神々に匹敵するのじゃ」「故に非天」
馬頭「これじゃ、韻虎と牛頭に勝ち目はないでバヒーン」
閻魔「やはり、天道界の帝釈天じゃないと、奴は倒せぬか?」
 
牛頭「もう一回チュチュラヴ隕石でウッモー!粉々にするでウッモー!」
飛びかかる
ヴァルナ「ひっーやめてくれよー、あれ痛いし、男前が台無しじゃーん」
飛びかかる牛頭に右手を伸ばし掌を向ける「非水天、鉄砲水!」
掌から牛頭の胸部に高圧砲水が放たれた『ズズーン』
その勢いで天井まで飛ばさせ、そのまま落下する牛頭
『ズダーン』『ゴロゴロゴロ』口から血反吐を履き
意識を失う「ゴッフッ」
韻虎「牛頭!」愛子「きゃー牛頭ッチが・・・」ショックで気を失う
愛子を抱きかかえる麗「牛頭さん」目に涙を浮かべる
韻虎「麗ちゃん俺が奴を引き留める間に、愛ちゃんを連れて
逃げるでガゥオー」
麗「韻虎さんも逃げようよー」
韻虎「俺は、牛頭の仇を捕るでガゥオー」「俺を信じるでガゥオー」
麗「わかった、外で待ってるね、約束だよ」
「また、ズラバスペシャル皆で飲もうね」愛子を抱え、出口から手を振る麗
ヴァルナ「フン、うまく逃がしたねー」
「猫は自分の死に目を見せないってねー」
韻虎「猫じゃない、虎でガゥオー」「さて、仕切り直しでガゥオー」
金棒を振り回し、電撃と共にヴァルナを切り刻む
「必ず、綻びはあるはずでガゥオー」
しかし、またヴァルナは蘇生する「だから、無理だって、その
ナマクラ棒じゃ」
韻虎「まるで、水を切る感覚、奴の体は、水でできているでガゥオー?」
ヴァルナ「あの子たちが遠くに逃げないうちに仕留めますかー」
「非水天、鉄砲水」
右手を伸ばし掌から高圧放水で韻虎を襲う『ズズズーン』逃げる韻虎「チッ!あれに当たったらお陀仏だ」『ズズズーン』『ズズズーン』
逃げ惑う韻虎
ヴァルナ「のろまの牛と違って、逃げ足だけは速いですなー」
『ズズズーン』
そこに出口から麗を捕まえた桃河が現れる
「ヴァルナさん、こいつ捕まえたよー」
韻虎「あっアイツ、電撃ショックが切れたのか?」
ヴァルナ「おっーでかした」韻虎の焦る様子を見て
『チラッ』「それじゃー」
ヴァルナの右手の掌が、麗に向けられた
韻虎「あいつ、麗ちゃんを・・・逃げろー麗ちゃん!」
麗に向かって走る韻虎
ヴァルナ「非水天、鉄砲水」『ズズズーン』
麗をかばい高圧放水の直撃を受ける韻虎
『ドッカーン!バリバリバリ』ドラム缶の積み荷に吹っ飛ぶ韻虎
衝撃で桃河と麗も倒れる

ヴァルナ「ほほーう、やっぱりねー」
「本気で、人間の娘に恋しちゃたのかな?」
「でも、この生娘は、あたくしが、ごちになります」
『ガッ』麗の頭部を掴み上げる「キャー」放心状態の麗「た・す・け・て」
ヴァルナ「地獄界の獄卒なら六道界の摂理を知っているであろー」
「人間に恋して一線を越えれば、知力、体力、能力、寿命まで縮んでしまう、五千年の寿命が百年になる」
「逆に!生娘を喰らえば、その生娘の寿命が吸収されるのじゃー」
『ガバッー』大口を開け、麗を飲み込もうとする瞬間

『シューン、シューン、シューン』疾風のごとく何者かが現れ
ヴァルナの右手を切り裂く『ピシュー』
落下する麗を、御姫様抱っこでキャチする韻虎「おっ、おまえは?」
切れ長の目に鬣、ユニコーンの様な一角、手には細長い刀の様な金棒を持つ
容赦なくヴァルナを切り刻む『シューン、シューン、シューン』
ヴァルナ「貴様、風を司る羅刹だなー」
韻虎「馬頭!お前トラウマで人間界に来れないんでガゥオー?ウマだけに」
馬頭「おしゃべりな黒毛無牛でバヒーン」
「別に来れないんじゃないでバヒーン」「
俺は、閻魔王庁の司令塔でバヒーン」
韻虎「嘘言え、足震えてるでガゥオー」
馬頭「黙れ、これ預かって来たでバヒーン」包みを渡さす
韻虎「ガゥオー・・・?」中身を見て驚く
馬頭「俺たちは、あの隅で待機している、早く奴を倒すでバヒーン」
皆を非難させる
切り刻まれた全身が蘇生し復活するヴァルナ「ちぃーす
また復活しましたよー」
ヴァルナ「何人増えようと、あたくしを倒すことは不可能ですよー」
韻虎「そうでガゥオー」「でも、これならどうでガゥオー」
預かった包みを見せる
ヴァルナ「げっげー、マジ、なんで貴様が、それをー?」
韻虎「俺たちの司令塔が持って来たでガゥオー」
「帝釈天が持つ金剛杵(ヴァジュラ)でガゥオー」
ヴァルナ「待ってくれ、その生娘は、お前にやる」
「お前が喰らえば寿命が百年増えるぞー」「だから、見逃してくれー」
金剛杵を天にかざし呪文を唱える韻虎「オン シャキャラヤ ソワカ」
「出よ雷神龍(インドラゴン)」『ピッカーゴロゴロゴロゴロ』
ヴァルナ「うわっー助けてくれー」金剛杵から雷の龍神が現れ
逃げ惑うヴァルナに巻き付く『ビリッビリッビリッビリッ』『ブシューブシューブシュー』『モク、モク、モク』水蒸気が発生し
みるみる萎んでいくヴァルナの全身
水蒸気が消えそこには、全身四尺に満たない老人が倒れていた

韻虎「これが、ヴァルナの正体か?全身が水の鎧だったんでガゥオー」
馬頭「やったな韻虎、雷を司る羅刹しか使えない技でバヒーン」
韻虎「麗ちゃん、もう大丈夫でガゥオー」近づいて頭を撫でようとした瞬間
麗「・・・」さっきの恐怖から立ち直れない様子
麗「・・・いっ、嫌っ、触らないで・・・」「お願いです、私を食べないで下さい」震えながら懇願する
韻虎「えっ?何っ?ガゥオー」同様する
馬頭「さっきのヴァルナの言葉が残っているでバヒーン
これは相当のトラウマでバヒーン」
牛頭と愛子の意識が戻る、牛頭「韻虎すげーな、奴を倒したでウッモー」
愛子「牛頭ッチ、目覚ました」「助けてくれてありがとう」抱きつく愛子
牛頭「あっ、ダメだって愛ちゃんウッモー」
愛子「お礼のキッス」『ぶっちゅー』
牛頭「うわー寿命が縮まるでウッモー」逃げる牛頭

 
1か月後 閻魔王庁
閻魔「ヴァルナも無事、無間地獄に再収監することが出来た」
「今回は三人とも良くやってくれたのじゃ」
韻虎「でも、良く帝釈天の金剛杵、借りれたでガゥオー」
閻魔「わしと帝釈天は古くからの戦友じゃ、今は天道界と地獄界から
天送で物流もできるのじゃ」
馬頭「でも、韻虎あそこで、彼女に振られてよかったでバヒーン」
韻虎「だから、最初から、そういうのじゃないでガゥオー」
牛頭「いやいや、初煩悩がとか言ってたでウッモー」
韻虎「あれ?牛頭、愛ちゃんとキスしたから、角短くなってるでガゥオー」
馬頭「ほんとだ短くなってるでバヒーン」
牛頭、鏡を見て慌てる「よせ、よせ人間化するでウッモー
寿命が短くなるでウッモー」
馬頭と韻虎の笑い声「ははははは」
 
人間界、地藏公園
弁天愛子と吉祥 麗がベンチに座り缶ジュースを飲んでいる
愛子「牛頭ッチたち、最近現れないね」麗「うん、もう現れないと思うよ」
愛子「私が気絶している間、何かあったの?」
麗「うーん、あまり覚えてないよ」
愛子「麗ちゃん、韻虎さんの事、好きだったんじゃないの?」
麗「うーん、わかんないな?」
愛子「そうだ、お地蔵さんに、また会えるようお願いしようよ」
お地蔵様に手を合わせる二人
「牛頭ッチと韻虎さんにまた、会えますように・・・」
第二話 完

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