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5年社会科Padletを活用した協働的な学習 日本の工場分布を可視化して「太平洋ベルト」を学んだ話。

はじめに

みなさん、こんにちは。小学校で働くささです。ICTツールをを活用した授業実践を自身の備忘録も兼ねて発信しています。

今日は社会科の授業でパドレットを活用した実践をご紹介したいと思います。実は先日、5年生の社会科「工業生産とわたしたちのくらし」の単元で、パドレットのマップ機能を使って日本全国の工場分布を可視化する授業を行いました。子どもたち全員でマッピング作業を行い、あっという間に日本の工業地帯が浮かび上がってくる - そんなワクワクした授業展開となりました。



この授業実践のポイント3つ

  1. 社会科見学の経験を出発点に、身近な工場から全国の工場分布へと視野を広げていく展開

  2. パドレットのマップ機能を活用し、クラス全員で情報を共有しながら日本の工業の特徴を発見

  3. 児童の「気づき」から自然と太平洋ベルトの学習へとつながる授業構成

「工場ってどこにあるんだろう?」という素朴な疑問から、日本の工業の特色にせまることができた、そんな1時間の授業実践をお伝えしていきます。パドレットって、社会科の学習とも相性がいいんです。

授業の展開①:導入

まず、授業のスタートは社会科見学の振り返りから始めました。先日、群馬県太田市にあるスバルの自動車工場とAGFの関東工場を見学してきたところでした。

「みんな、この前の社会科見学で行った工場、覚えてる?」
「スバルに行ったよ!」
「そうだね。スバルって何を作ってる工場だった?」
「自動車!」

こんなやり取りから授業を始めていきます。子どもたちの記憶が新しいうちに、見学で学んだことを整理していきました。板書では、

自動車(スバル)→群馬県太田市
コーヒー(AGF)→群馬県太田市

というように、製品と工場の場所を矢印でつないで書き出していきます。


ここで、もう一つ地元の話題を投げかけてみました。

「群馬県には、みんなが知ってる『ペヤング』っていう焼きそばを作ってる工場もあるんだけど、どこにあるか調べてみようか」

子どもたちはタブレットを使って検索。ペヤングを作っているまるか食品の工場が群馬県伊勢崎市にあることを見つけました。ここまでの活動で、子どもたちは身近な地域にもいろいろな工場があることに気づけたようです。そして以下のように板書します。

自動車(スバル)→群馬県太田市
コーヒー(AGF)→群馬県太田市
カップ焼きそば(ペヤング)→群馬県伊勢崎市


そして、ここからが本時のポイント。

「それでは、他にはどんな工場がどこにあるんだろう?みんなで調べてマップを作ってみよう?」

という投げかけで、パドレットを使った活動へと進んでいきます。

児童は自分の身の回りの工業製品の名前やブランド名、商品名を頼りに端末でその工場を調べてノートにメモし、次の活動への準備を整えました。

導入では、児童の社会科見学の経験や身近な地域の工場を手がかりに、自然と「工場の分布」という学習課題につなげることができました。

授業の展開②:パドレットでマッピング

いよいよパドレットを使った活動のスタートです。パドレットのマップモードを設定し、クラスルームを通じて共有リンクを児童に配布しました。子どもたちはノートにメモした工場を、次々と地図上にマッピングしていきます。

実際の手順はこんな感じです。

児童は右下の投稿ボタン(+マーク)から入力を始めます。例えば、「ペヤング焼きそば」で検索するとマルカ食品という会社が見つかります。その中で工場を選んで「完了」をクリック。

群馬県伊勢崎市の住所にピンが自動的にマッピングされるんです。

タイトル欄には誰が入力したのかわかるように名前を入れさせました。もちろん、探した工場の名前や、どんな製品を作っているのかも書き込んでいきます。

クラス全員が同時に作業を進めていくので、あっという間に日本全国の工場がマッピングされていきました。子どもたちの反応も上々で、「あ!ここにもあった!」「こんな有名な会社の工場が見つかった!」という声が飛び交います。


ものの数十分で地図にびっしりと工場のマーカーが並んでいきました。パドレットのマップ機能って、本当に便利です。位置情報を入力すると自動的にマッピングしてくれるので、子どもたちも簡単に使いこなせました。

まさに協働学習です。一人では時間がかかる作業も、クラス全員で取り組むことで、短時間で日本の工場分布を可視化することができました。そして、このマップから見えてくる特徴的な工場の分布が、次の学習展開につながっていきます。

クラスみんなで一気にマッピング

授業の展開③:気づきから太平洋ベルトを発見

全国の工場がマッピングされたところで、こんな問いかけをしてみました。

「工場の位置を見てみると、なんか特徴はあるかな?どんなところに多いと思う?」

すると、子どもたちからいろんな気づきが出てきました。

「海の近くに工場が多い!」
「なんか横に一直線になってる気がする」
「東京から大阪にかけて、たくさん工場があるね」

これこそが、私がこの授業で子どもたちに気づいてほしかったポイントです。日本の工場は、確かに海沿いに多く、しかも一定の帯のように並んでいます。

クラスで作った工場分布MAP
たしかに太平洋ベルトになっている。


ここで、教科書で学ぶ「工業地域」や「工業地帯」の話を教科書で調べます。

実は、子どもたちが見つけたこの工場の並びは「太平洋ベルト地帯」と呼ばれていること、関東から中京、近畿、北九州にかけて大きな工業地帯が広がっていることを説明しました。

そして、私たちが住む群馬県太田市は「関東内陸工業地域」の一部なんだよ、という話もしました。子どもたちは自分たちで作ったマップと見比べながら、「確かに!」と納得した様子でした。

こうして、自分たちで調べた工場の位置と、教科書で学ぶ工業地帯の分布が重なり、学習内容の理解が深まっていきました。ただ教科書を読むだけでは実感が湧きにくい工業の地域的な特色も、実際の工場をマッピングすることで、よりリアルに感じ取れたようです。

まとめ:実践を振り返って

今回は工業の学習で、パドレットのマップ機能を使って工場の分布を可視化する授業を行ってみました。最後に、この実践のポイントをまとめておきたいと思います。

まず、パドレットってすごく使いやすいツールだなと改めて感じました。ブラウザさえあれば使えて、アプリのインストールも不要。子どもたちにとっても直感的に操作できる教育用アプリだと思います。

特に、マップ機能は地図上に情報を整理するのにぴったり。小学校5年生の社会科では、こういった地図での位置関係の学習が多いので、いろんな場面で活用できそうです。例えば水産業の漁港を調べる学習や、自動車工業の組立工場と部品工場の関係を調べる学習なんかにも使えそうですよね。

何より良かったのは、子どもたち一人一人が「調べる」「入力する」という活動に参加できたこと。みんなで作り上げた地図だからこそ、工場の分布の特徴にも興味を持って考えることができました。

ただし、課題もありました。事前に工場を調べる時間をもう少し確保できれば、より多くの場所をマッピングできたかもしれません。また、インターネットで検索する際の適切なキーワードの選び方なども、指導が必要だと感じました。

でも、社会科見学という実体験から、日本の工業の特色という大きな学びにつなげられた授業になったと思います。パドレットを使った地図づくり、ぜひ試してみてください。

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