PIN百物語 hirokiの章
それは、ある年の年初め
私は冷や汗の止まらない経験をした
私は家族を連れ、買ったばかりの新車に乗り込み、初売りを求めて名古屋のファッションビルに向かった
納車されてまだ数ヶ月の車は乗り心地も良く、軽快に数十キロの道のりを走破してくれた
目的地に辿り着き、妻と長女を先に店内に送り出し、私は2歳になる長男を後部座席に乗せて地下の駐車場に車庫入れを始めた
私「そういえば、自動運転の車庫入れってあったよな。コレをこうしてセットしたらあとは見てるだけで入れれるのか。なるほど。
ムスッコよ!!見ておれ、コレが文明の利器じゃ!!はい、ポチッとなー」
言葉もわからない子どもに謎の宣言をして定位置に車を置き、ワクワクしながらスイッチを押すと滑らかに自動でハンドルを切りながら軽快にビューンと前方に動き出した
そう、文字通りビューンと
しかし機械を信じ切っている私は
私「ムスッコよ!!凄いぞ!!こんなスピードで駐車できるんだぞ!!安全装置もあるしぶつかる前に止まるんだぞ!!凄いだろ!!」
因みに注釈をするならば、その駐車場は少し導線が狭い
そこでビューンと行くとどうなるか
ビューン
ドカン!!
そう、ものの見事に向かいの新車に驚くべきスピードで突き刺さったのだ
(この自動車庫入れ、実は衝突防止センサーが反応しないということを後に知ることになる)
自分の新車も相手の新車も蹴飛ばした一斗缶の如く凹んでいる
私の冷や汗が滝の様に溢れ出した
ぶつけてしまった相手の方に説明することよりも、もっと恐ろしいことが私の脳裏を埋め尽くしていた
そう、それは妻に説明することである
冷や汗というよりもはや動悸と息切れが…いや、息切れはしていないので小刻みに震えながら意識が遠のく思いで嫁に謝りました
新車を新車にぶつけたこともさることながら、幼児を乗せていたことに対してしこたま怒られたのは言うまでもありません
本当に恐ろしい体験をしました
狭い駐車場での自動車庫入れはオススメしませんので、皆さんも気をつけていただけると幸いです
PIN百物語hiroki編、如何だったでしょうか
夏の夜に涼やかな風を吹かせれば良かったかなと思います
それではよしなに
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