ラクスルはサービスを「作る」と「売る」に分離した会社(目論見書のまとめ)

ご無沙汰しております。
アメブロから移った廣川です。
今回は、4月27日(金)に上場が承認されたラクスルについて目論見書を読んで気づいたことをまとめていきます。

まず、事業について。
ラクスルには3つの事業があります。(セグメントは2つ)
自分の認識では、機械を使ったサービスの「作る」と「売る」の2つに分離したもので、マーケットプレイスとも言われる形態だと思います。

次に資金使途について見てみます。
ラクスルの広告宣伝費に26.18億円、新規事業に3.4億円、人件費に2.8億円を使います。
直近の2年半でラクスルは、広告宣伝費に32.46億円を使っており、5年で60億円弱の資金を広告宣伝費に使うことになります。

次に、売上や営業利益や営業利益(広告宣伝費を除く)を見て見ます。

次に、売上総利益率と営業利益率と営業利益率(広告宣伝費を除く)を見て見ます。

次に、ユーザー増加数と1ユーザーあたりの平均獲得費(広告宣伝費/ユーザー増加数で計算)の推移を見て見ます。

次に、獲得した1人の顧客がどのくらいの単価で何回注文してくれるのか?を見て見ます。

ここで気づくのが、
1.粗利率が上がっていること
2.2016年10月末からは広告宣伝費を除いたベースであると黒転していること
3.広告宣伝費をぶっこんでいる2018年1月末の四半期でもすでに1億円の黒字
4.1ユーザー獲得あたりの費用は下がってきておりかつ、ユーザーも何度か注文してくれるのでちゃんと回収できている。
でしょうか。

ここで自分が特に気になった1.粗利率が上がっている理由を考えてみます。(あくまでも可能性)
①自社で購入した印刷機を提携会社に貸している
実はラクスル、印刷機を自社で3機保有しています。3機のうち2機は自社で購入、1機はリースです。

ここで湧いてくるのがものが、「え!印刷機自社で保有してたらマーケットプレイスじゃなくて印刷会社じゃん!」ということではないでしょうか。
まず、粗利率でいうと、一般的な印刷会社よりはるかに高い数値となっています。(純粋な印刷だけの図書印刷の粗利率は15%です。)
次に、「マーケットプレイス」のメリットですが、ファブレスでできるということがあります。

ただ、ファブレスであることと同時に「売るユーザーを抑えていること」もとても大切なポイントです。
マーケットプレイスや仲介者のプレーヤーとして売ってる人がサービスを作る方にも進出することが多々あります。
例えば、セブンアンドアイHDのPB「セブンプレミアム」やじげんがリジョブを買収したり、Netflixが映画を作ったり、Airbnbが自社でアパートの建設したり、WeWorkが不動産ファンドを作ったりしています。(少し違うかもしれませんが、DropboxもAWSをやめて自社サーバーを作ってますよね)
今まで仲介者だった人たちが、これまで蓄積してきたユーザーやユーザーのデータを元にサービス提供サイドに拡大していくのは時代の流れがあり、それが粗利を改善させています。
特にラクスルの場合、これまで難しいと言われてきた「小ロットの低コスト印刷」の分野のある種の「小売」を作り上げて獲得したユーザー、これはかなり大事なポイントとなる気がしています。

②集客支援サービス
ラクスルでは、2015年3月から集客支援サービスというものをはじめています。売上の15.5%を占めているサービスです。
正確な集客支援サービスの粗利率がわからないものの(IRヒアリングせねば)、利益率を上げている可能性があります。
また、集客支援サービスによってユーザーの依存度をあげています。


と目論見書を長らく印刷事業の方に触れてきましたが、大切なのは今後どのように成長するのか?ということでそれができるのか?だと思います。
まず、基本に立ち返ってラクスルのビジョンや事業展開について見て見ます。

印刷業界という5.5兆円も市場規模がありながら、オールドエコノミーでかつ変化率を生み出すのが難しい領域ながら、ここまで成長させたノウハウは、他の変化率を生み出すのが難しい領域にもヨコテンできるのではないかと考えています。
ヨコテン事例のとして現在展開されているのが物流のマッチング(水屋)を展開している「ハコベル」で、市場規模も(B2BとB2CとC2B2Cが混ざってますが)14.5兆円もありながら事業者数が6.2万社以上あります。
水屋の最大手といえばトランコムですが、トランコム自身も成長していますし、ハコベルの都内の短距離輸送というニーズとトランコムの遠距離輸送というニーズで異なるので住み分けができると思います。(ローランドベルガーのレポート、経産省の水屋の物流のレポート


ここで、B2BのECの市場規模についてですが、経産省のデータによると317兆円もあるそうです。(うわおw)

詳細はこちらをご覧ください。(電子商取引に関する市場調査

最後に、評価額をつけるにあたって参考になりそうな会社ですが、B2BのEC・マーケットプレイスということで以下の企業あたりでしょうか。
インフォマート(時価総額1295億円・PER68.19倍)
シンクロフード(時価総額291億円・PER99.19倍)
MonotaRO(時価総額4791億円・PER47.27倍)
エムスリー(時価総額1兆3425億円・PER64.05倍)
あたりでしょうか。
他にも専門商社の領域もあるかなと思いますがうーん…

てな感じで、ラクスルの目論見書をみて色々まとめて見ました。
ただ、目論見書を読んだだけなので、会社の思いやビジネスモデルを勘違いしてしまっている可能性がありますが、その際はご容赦ください。

(資本政策がちょっとを整理していたら、ニッセイC5が1.1億円の調達で1億円を投資して17%以上を取得した他のになぜ途中でほとんど売却してしまったのか…)

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