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令和元年の夏休み: 立山

2019年8月、夏休みに黒部・立山を訪れました。黒部ダムは小学生の頃に家族旅行して以来、そして、立山は3年前の夏に北陸新幹線に初めて乗って、標高2300メートルの天狗平に位置する立山高原ホテルでの滞在や、高山植物に囲まれた高原の山歩きが気に入り、もう一度行ってみたいと思っていました。

新宿から「あずさ」に乗り、信濃大町まで3時間半。大町で一泊した後、扇沢から、トロリーバスに代わって今年から運行開始した電気バスに乗ると、10数分で黒部ダムに着きます。昭和30年代の高度経済成長時代、電力不足を解消するため、関西電力が水量が十分にあって安定的に水力発電できるところは、「秘境・黒部しかない」とダム建設に乗り出したものの、まずは黒部まで行くトンネル建設から始めなくてはならず、環境に配慮した地下の水力発電所建設まで、171人の労働者の犠牲を出しながら、7年の歳月をかけて完成しました。

黒部の素晴らしい山々に囲まれた黒部湖に人工的なダムを建設する、というのは今の時代だったら許されるだろうか、おそらく自然破壊への反対運動も起こるのではと想像されますが、当時は電力供給を安定させて経済を発展させるという社会的使命が勝ったのだと思います。それでも、発電所は黒部湖からの水を10キロ引いた地下に建設したという景観への配慮は、当時としては画期的であり、日本の土木・建設・電力の最先端インフラ技術が投じられた成果なのでしょう。

黒部湖からケーブルカー、ロープウェー、トロリーバスを乗り継いで、立山雄山のふもと、室堂に着きます。立山は奈良時代に開山した信仰の山で、人々が天空を求めて崇拝し続けてきたといいます。今は、中国人観光客も多く訪れるインバウンドのDestinationともなっていますが、こういう観光目的もあって、黒部ダムの建設も許可されたのでしょう。

室堂からバスで美女平や立山まで降り、車窓からの景色を楽しむだけでも素晴らしいのですが、是非お勧めしたいのは、天狗平まで歩く高原の散歩です。ヨーロッパのアルプスやアメリカのNational Parkを思い起こさせるように、遊歩道が整備され、8月でも高山植物がかわいい花を咲かせています。天国に行くとき、死の苦しみを和らげるために、お花畑を通っていくと言われますが、その光景は天狗平の高原のようなところなのかな、と想像させてくれます。

雷鳥もその貴重な姿を見せてくれました。この時期は雷鳥の雌が子育てをするため、雄と別れて過ごすそうです。単独で行動していた雄の雷鳥に出会いました。

私が立山の中でも一番気に入っているのは、立山高原ホテルです。天狗平の真ん中にあって、360度のパノラマを満喫できます。しかも夜は満天の星空と、遠くに見られる富山の夜景。何の飾り気もない、自然の中で過ごす一夜は格別です。この日は雲海に浮かぶ夕陽と晴天の夜明けの両方を楽しむことが出来ました。

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