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事業計画書、強みを書くときの落とし穴

補助金で欠かせない事業計画書、マニアックになってしまいがちですよね?特に製造業。

私の場合、そんな時は、他業界のパンフレットやパッケージをパラパラっと見ています。

花王のアタックのパッケージが分かりやすいよ

「スプーン一杯で驚きの白さ!バイオの力で汚れを落とす」

この文章、すごくないですか!?

私が花王の技術者なら……「xxxという酵素を、xxxxの遠心分離機を使い、xxxの工程、xxxの工程、xxxの工程を得ることにより洗剤の少量化に成功しました。分子レベルで95パーセントxxxxの状態にできるのは当社の同時技術です。その結果一般的な家庭用洗濯槽は40リットルですが、従来の粉石鹸を使用する場合80g(コップ1杯)必要であったのに対し、新製品のアタックは、20g(スプーン1杯)で、汚れがきれいに落ちます。」

って書いちゃう。

それを「スプーン一杯で驚きの白さ!バイオの力で汚れを落とす!」のたった1行で伝えちゃう。

この文章力、只者じゃない。

事業計画書は仕事で使うマニュアルじゃない。だから正確に伝える必要はない

…言い切っちゃうと語弊がありますが。

もちろん嘘はダメですよ。嘘はダメ。でも、誤解のないように伝えねば!!と張り切って延々と専門用語をつらつら書かれると読む方は大変です。

例えば…

2枚の白いシャツの写真「バイオの力で汚れを落とす。」のキャッチコピーと共に、2枚の白いシャツの写真。

右の汚れが残っているのが従来の粉石鹸、左の真っ白なシャツがアタックで洗ったもの」って言われたら、「そっか、バイオの力で汚れを落とせるんだな」と納得してしまいます。

「納得する=理解する」ではない

バイオの力で汚れがきれいに落ちるんだな。って納得したアナタにお聞きします。

「なんでバイオの力で汚れが落ちるの?バイオってそもそも何?菌なの?酵母なの?それとも自然由来って意味なの?バイオの力って化学の力とはどう違うの?」って小学生から聞かれて、説明できますか?きっと説明できないですよね?

説明できないってことは、理解してないってことです。

理解してないのに納得はしている。なんとも不思議な状況。

シンプルな文章で当社の強みを納得してもらおう

審査員に、当社の強みを理解してもらおうとは思うと、マニアックな文章になりドツボにハマります。理解はしてもらわなくても大丈夫。でも納得してもらえるようにしましょう。

「強みは、数字を交えて具体的に」の意味を考える。

「強みは、数字を交えて具体的に書いた方がよい」そうアドバイスしてくれる人多いですよね。わたしもいろんな人にそのようにアドバイスされました。

これ、嘘じゃないけど、言葉足らずで不親切だなぁ…と思います。

中小企業診断士さんにとっては、当たり前のことだから、前置きを省いてしまうんだろうな。

「息を大きく吸いなさい。」と言われただけで、息が吸える人もいるけど、

「息を吐いて。吐ききったら大きく吸って」と前置きがないと、うまく息を吸えない人もいる。

このアドバイスの通り書いたら、マニアックで審査員が読む気がしない事業計画書まっしぐらです。(…と偉そうに書いてるけど、私もやりがちです…)

「強みはさらっと一行で書く。(アタックの例は「バイオ」の三文字だけ!これはすごい…)

強みを活かした結果について、数字を交えて具体的に書く。その数字が、生産性向上にどう結びつくのか?を書けると尚良い。強みが1行だけだと寂しいから、写真を乗せてインパクトを出す。」が正しい強みの書き方かな?と思います。

例えばビックカメラのエアコン売り場。

「電力使用量、当社従来品と比べて50%減!最新型インバーター搭載!」

強みは、最新型インバーターなんです。でも、強みのインバーターについての説明は「最新型」のみ。数字を交えた説明は、結果(電気代)についてです。

製造業で事業計画書を書く人は、製造業に造詣が深いので、インバーターが何者か、知ってると思いますが、エアコンの機種決定権を持つのは主婦なので、あれは主婦向けのキャッチコピーです。

奥さんに聞いてみてください。「インバーターって何か知ってる?」って。

女性は「なにそれ??え?エアコン?エアコンの部品なの?」って言う人、多いかと思います。

エアコンの中に入ってることは、知っていても、エアコンの中で何を調整している部品なのか?までを正しく答えれる人は少ないと思います。

これも花王のアタック同様に、強みに理解はしてなくても、結果に納得してる、一つの例だと思います。

インバーターが何か?を知らない主婦に、他社のインバーターのセンサーの精度は100ナンチャラですが、一方当社のインバーターのセンサー精度は300ナンチャラもあるんです。他社のと比べて3倍も高性能なんです!と、数字を交えて熱く、マニアックに語っても、主婦の心には響きません。

インバーター(強みの技術)の説明は、「最新型」の3文字でいいんです。

数字を交えた説明は、電気代(結果)でたっぷり行うべきです。

強みの記述がマニアックにならないためのコツをまとめるよ

◼️強み(技術)はさらっと一行で。一行じゃ寂しいので写真を使う

◼️強みを使って得られる結果は、たっぷりと。数字を交えて具体的に。


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