今こそ、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの声を聞け。

 ロシア連邦のウクライナ国侵略から2か月が経過した。独裁者が主導する暴虐行為は、全く終りが見えない。もはや、ウクライナ征圧ではなく、「戦争そのものが目的」と化しているように感じる。この侵略戦争を終結させるのは、結局、ロシア国民の覚醒と勇気ではないか。彼らが、権威主義、国家主義の歪みを感じ取り(実はとうに感じているのだろうが)、言論と団結で独裁政治を打倒する時、侵略は終わるのだと思う。逆に言うと、彼らが沈黙、服従し続ける限り、侵略は続く。
 日本のメディアは、この2か月、代わり映えがしない。遠く離れた地域に疎い日本国民に対し、国際政治学者、軍事アナリスト、シンクタンク研究員といった有識者?が解説する。淡々と…。戦況解説を無駄とは言うまい。しかし、敢えて有識者、メディアに問う。「戦争終結に向けて、あなたは何ができますか?」
 私が今一番聞きたいのは、ウクライナ生まれ、ベラルーシ育ちのジャーナリスト、2015年ノーベル文学賞受賞者、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ(Svetlana Alexandrovna Alexievich)の言説である。ロシア、ベラルーシの独裁者と対峙し、抑圧される「小さき人びと」に寄り添い、耳を傾け、その声を伝えてきた。どの著作も、重く暗く、胸が締めつけられる。しかし、計り知れない説得力がある。
 ところが、日本のメディアは現在(迫害を逃れ)ドイツに住む、このジャーナリストに話を聞こうとしない。理解に苦しむ。私が記憶する限り、彼女の肉声を伝えたのは1社だけである。その際の発言を可能な限り忠実に伝えたい。

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