2022年鑑賞映画ベスト
今年の映画鑑賞本数は761本でした。800本くらいは行くかなと思ったのですが及ばずでしたね。でも流石に去年よりは本数いけました。
形式は去年同様に新作、旧作、再鑑賞の順でベストを発表します。
新作
今年も全くというほど新作を観なかったので、ぶっちゃけ寄せ集めベストです。
1位 異端の純愛
井口昇監督の集大成。陰鬱とした初期のテイストで描かれる異端の純愛。ラストでずっしりと来る重さに心が耐えられなくなる…傑作。
2位 すずめの戸締り
この作品についてはガッツリとレビューに起こしたいので、ここでは軽く。作品ごとに進化していく新海誠監督の最新形態として、ひとつ壁を越えた感覚を味わえました。賛否両論あるようだが、俺は傑作と評します。
3位 劇場版 おうちでキャノンボール2020 ディレクターズ・カット版
一歩間違えたら駄作になっていたであろうスレスレを行くコロナ禍でのキャノンボール。2時間が短く思えるほど楽しめました。バクシーシ山下監督の残像のくだりが特に良くて。元気を貰える素晴らしいドキュメンタリー。
4位 TITANE/チタン
パルム・ドール受賞は伊達じゃない。独創的で異常ながらもハートフルな家族映画へと昇華する衝撃的な映画でした。
5位 RRR
インド映画特有のクドさが鼻についたりはしたもののシュールさに笑える極上のエンタメ大作として楽しめました。まさかインド映画で『ミラクル・カンフー/阿修羅』のようなアクションを拝めるなんて。
6位 流浪の月
李相日監督の作品は、ストーリーとか演出力とかを差し置いて役者の演技を一番に引き出してくれる。松坂桃李と広瀬すず、横浜流星の演技力を堪能。久しぶりに役者復帰した多部未華子も良い…。
7位 コーダ あいのうた
Appleのオリジナル映画がアカデミー賞勝ち取ったとしても話題に。予備知識なく観たので『エール!』のパクリかと思ったんですがリメイク作品だったんですね。
8位 神は見返りを求める
ムロツヨシは俳優にならなかったらヤバい犯罪とか犯しそうな雰囲気あったんですが、それを映画でやってくれて感無量です。登場人物全員ゴミクズみたいな奴らで面白かったです。
9位 哭悲/THE SADNESS
色んなホラー映画の要素を繋げ合わせて新たな恐怖を生み出してる感じが良かったです。乗っけからギア全開の地獄絵図が展開するので息つかせぬ魅力がありました。
10位 HOMESTAY
大して話題にならなかったAmazonオリジナル作品ですが、僕は結構気に入りました。テンポよく展開していく気持ちの良いストーリーラインが魅力ですね。
旧作
僕の映画鑑賞のメインは旧作なので、こっちが本番です。今年は佐藤寿保監督作品を攻めた印象が強いです。来年はどの監督作品を攻めるか悩み中です。
1位 V.マドンナ大戦争
アイドル映画大好きなんですけど、これはどストライクに良かったです。弱小高校の生徒会長が7人の剛腕ギャルをスカウトして不良高校の生徒と戦わせるという、七人の侍とマッドマックスを掛け合わせた超カルト映画でハチャメチャ具合が癖になりました。
2位 ホリデーロード4000キロ
家族が長距離を旅行するロードムービーなんですけど、繰り出されるギャグのひとつひとつが過激でブラックなネタ満載で死ぬほど笑いました。DVDを買いたかったのですが、廃盤で値段もぶっ飛んでたのでとりあえず諦めました。
3位 コイサンマン キョンシーアフリカへ行く
ラム・チェンインとニカワさんが夢の共演を果たした混ぜるな危険のドリームコラボ映画。キレッキレのギャグが炸裂しまくって笑い死にました。ブッシュマンと霊幻道士好きなら絶対観て欲しい珍作。
4位 ホビット 決戦のゆくえ エクステンデッド・エディション
指輪物語シリーズの中で特に好きな作品なので、今年やっと完全版のエクステンデッド・エディションを観ることが出来て感激です。
5位 童年往事 時の流れ
侯孝賢の作品は小津っぽいと度々比較されるらしいが、マジで小津テイスト。死の運命には抗えない家族という枠組みを描いた傑作で、空気感が絶妙。
6位 マルメロの陽光
画家がひとつの絵を描きあげるまでの苦悩と挑戦を描いた作品は大好物なので気に入りました。ドキュメンタリーなのに作劇的カットも入り交じるのが特徴です。
7位 暴行本番
今年は沢山の佐藤寿保監督作品を観ましたが、これは特に脳髄を刺激する8bit音楽と血みどろオナニーによる劇物映画でした。『女虐 悪魔の悦び』として後にセルフリメイクされましたが、圧倒的にオリジナルの方が良いですね。
8位 ピクルドパンク
連続殺人鬼の脳内を描いたロードムービーです。徹頭徹尾ぶっ通しで頭イカれた内容だったので最高でした。日本にも『アングスト/不安』のような映画があったことに感動を覚えましたね。
9位 セリーヌとジュリーは舟でゆく
廃盤だったジャック・リヴェットのDVD BOXを入手して観たのですが、ヌーヴェルヴァーグの中でも特に好きな作品となりました。『不思議の国のアリス』を下敷きとしたおとぎ話の物語で、円環構造を用いたエンディングの流れが好きすぎました。購入から数ヶ月後にBlu-ray BOX発売の告知が届いて即売りましたが。
10位 ボーイズ・ドント・クライ
主人公が強姦されるシーンがあって、物語的にはかなりの胸糞展開なのですが思わず興奮して勃起してしまいました。一切救いのない映画で滅茶苦茶気に入りましたね。
11位 パウダー
地下に監禁されて育ったサイキック能力を持った全身真っ白な青年が地上に出てきて学校に通う話なんですけど、これは忘れ難い不思議映画でした。
12位ファイブ・フィート・アパート
難病モノの恋愛映画はベタですけど感動出来る作品が多いので良く観るんですが、これは個人的にですが飛び抜けて傑作でした。『きっと、星のせいじゃない。』に似てると比較されているみたいですが、まぁ確かに似てますね。どちらも良い映画だと思います。
13位 野ゆき山ゆき海べゆき
大林宣彦監督がATGで撮ったコメディ映画で、かなり好物の作風でした。身売りされそうになる年上お姉さんを救うために少年達が協力して大人相手に戦争を仕掛けるっていうのが溜まりません。
14位 火の鳥
手塚治虫漫画の『火の鳥 黎明編』をベースとした大規模な実写映画作品でありながら長年封印されていた作品。税込価格33,000円のぼったくりBOXを購入して観たのですが、市川崑監督の黒歴史的な駄作と呼ばれてる割にはエネルギッシュな魅力に満ちており大変楽しめました。原作の漫画表現を実写で再現する熱意にやられました。
15位 正午なり
かなりイッちゃってるATG映画でした。頭の中は常に女の妄想で爆発しそうな童貞の青年が狂気をギラつかせていくのですが、行動の変態っぷりに思わず応援したくなりました。女の子の家に侵入して布団に抱きついて匂いを嗅ぐシーンがお気に入りです。
16位 イマジン(2012)
盲目の男女の恋を軸にしたイマジネーションを奮い立たせる傑作でした。廃盤のBlu-rayを探してるのですが一向に見つかりません…。
17位 処刑!血のしたたり
低予算ホラーの隠れた傑作でした。深夜のスーパーマーケットが舞台で、残業中の従業員が次々と殺されていくシチュエーションからして好きです。カメラアングルなども無駄に凝っており、残虐描写も申し分ありませんでした。
18位 ドカベン
鈴木則文監督が漫画の実写映画を手掛けると、これほどまでにブッ飛ばしてくれるのかと震えました。常にテンションが高いので楽しく観れますし、野球映画と柔道映画どっちも楽しめる欲張り仕様なので最高です。
19位 0課の女 赤い手錠
カルト映画なだけあって、凄まじい破壊力を秘めたバイオレンス・ムービーでした。特に終盤は容赦なく血飛沫が飛び交う地獄みたいな銃撃戦でテンション爆上がりでしたね。
20位 カリフォルニア・ドールズ
これはもう女子プロ映画の最高傑作でしょう。八百長試合やってるイカれた審判をボコるくだりの突き抜けた面白さに圧倒的カタルシスを感じました。
21位 愛欲の罠
日活ロマンポルノ屈指のカルト作。殺し屋マリオが登場してからの異様さはただただ恐怖でしかなかったです。そしてやはりラストですね…凄い終わり方をします。
22位 (ハル)
インターネット黎明期、ネット掲示板で知り合った男女が実際に出会うまでの恋愛映画です。全体の6割方はネット上での文字のやり取りが続いており地味な印象を受けますが、この文字でのやり取りが心地良くて…。好きな映画になりました。
23位 ジンジャースナップス
海外ではカルト人気の高いホラー映画のようですが、日本では流通の少なさからか知名度が全然ありません。こんなに面白いのに非常に勿体ないですね…。
24位 太陽の年
戦後ポーランドを舞台にしたアメリカ兵とボーランド人女性の言葉が理解し合えない者同士の切ない恋愛映画です。この映画に関してはラストのダンスが良すぎた件に尽きます。
25位 (生)盗聴リポート 痴話
こちらも佐藤寿保監督作品ですね。TV画面から発信された怪電波に犯される女性という狂いっぷりにド肝抜かされました。この作品のお陰でビデオドラッグを知ったのでありがとうございます。
26位 人生は琴の弦のように
盲目の師匠と弟子が旅芸人をしながら転々としていく寓話的ロードムービー。師匠の迫力満点の歌声が凄まじかったです。中国の広大なロケーションの美しさも神秘的でした。
27位 街の上で
今泉力哉監督は苦手な監督だったんですが、これは意外と良かったです。パズルみたいにあれこれ繋がっていく感じとか、会話の内容とか、人間関係とか。
28位 ラヴ・ストリームス
ジョン・カサヴェテス監督の作品だと『こわれゆく女』がオールタイム・ベスト級に好きなのですが、こちらもかなり近いテイストでビックリしました。何でもありって感じで、ヤバ味でした。
29位 悪夢の系譜/日記に閉ざされた連続殺人の謎
観てすぐ売り払いましたが、ホラー映画好きなら観ておいた方が良いでしょう。恐怖を煽る雰囲気作りが抜群で小道具の使い方もとても印象的でした。何も起こらないシーンですらヒヤヒヤ出来ます。
30位 ザ・ウーマン 飼育された女
Blu-rayを購入してから5年は放置しておりましたが、やっと観ました。山で拾ってきた食人族の女性を監禁して飼育する一家のお父さんマジキチ映画として、予想以上に面白かったですね。クライマックスでのヤバヤバな残虐シーンが気持ち良かったです。
再鑑賞
今年は再鑑賞出来た映画が多くて充実してました。難解な映画を観返して紐解いていく心地良さに酔いしれる1年でした。
1位 三人の女
人格乗っ取りを描いたロバート・アルトマン監督の大傑作で、人生ベストのひとつです。自己解釈ですべてに理由付けをするために3日連続で観てスッキリしました。
2位 アメリカン・ビューティー
こちらも人生ベストのひとつです。掴みきれない謎の多い映画ですが、考察する楽しみに特化しております。見事に沼です。
3位 デス・プルーフ in グラインドハウス
この映画は吹き替えが最高なので定期的に観返したくなるのですが、映像で得る麻薬みたいなものですね。奇跡のようなB級映画だなと改めて思いました?
4位 ポゼッション
この映画も念願のBlu-rayが発売したので特典含めて完全にしゃぶり尽くしました。今までは理解出来なかった要素にも答えを見いだせたので達成感に浸っております。
5位 マルホランド・ドライブ
ひと昔前まで、僕の中での難解映画の頂点だった作品です。仕組みを理解出来れば、それほど難しい内容でな無いんですけどね。円環構造を用いた作品は美しく、醒めない悪夢を見ているようでした。
6位 美しき緑の星
スピリチュアル系の映画の頂点だと思っています。数年前までは発禁問題などで幻の映画扱いでしたが、奇跡的にDVDが発売したので驚きました。接続解除という特殊能力の設定が良すぎて…。
7位 ネクロマンティック2
久しぶりに観たら滅茶苦茶面白かったですね。恋愛映画のひとつの究極系でしょう。前作との繋がりがあるのも楽しいですし、心地良い音楽とエグい映像のコントラストで妙な気分になります。
8位 さびしんぼう
この映画も割と何でもありって感じなんですけど、観れば観るほどハマりますね…。さびしんぼうについて深く考えることが出来て楽しかったです。
9位 変態団
映画界の変態代表である井口昇監督が贈る変態賛歌となっています。世の中の悩める変態に救いをもたらす優しい作品となってますね。心が洗われるようなしんみりとしたクライマックスに感極まりました。
10位 エヴォリューション
まさに夢を見ていたかの感覚に陥る浮遊感のある幻想映画です。ちゃんと気持ち悪いです。意味深なパーツを繋ぎ合わせて答えを導かなければいけないのですが、考察する余地を楽しめる人向けですね。
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