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『言葉ではないもの』が伝わっていく

よく喋る人はたしかに目立つし人気者にもなれますが印象が強いのはその場限りの事で、翌日になればその人の事もその人が何を喋ったのかもすっかり忘れているものです。ほとんどの選挙演説などはこの例だと思います。無口であっても、とつとつとした話し方の人であっても行間のある話し方をする人の方が強く印象に残ります。

行間と順序

いい文章はそこに文字として書かれているもののみならず、文章と文章の行間から様々な事が読み取られるものです。例えば俳句や短歌等は選ばれた短い文章で気持ちを表現するという事ですばらしい。ただしこれは普通の人には即興ではできません。熟考に要する時間が必要となります。

いい話し方もそのようなものではないかと思います。言葉にした事が全てではありません。話し方には行間があります。ちょっと黙り込んだ時のその人の作る表情、態度の変化、目線の強弱、等々。そのようなものが言葉以上に語り掛けてきます。話す順序によっても意味が大きく変わる事もあります。

話し上手な人は言葉の量ではなくて順序と行間で語ります。一方聞き手は話し言葉だけを聞いているのではありません。相手の表情、態度、目線にも聞き耳を立てています。人と人は言葉によってだけではなくそれ以上に『順序』と『行間』で通じ合っています。

Lineのスタンプ

文章だけでは伝えにくい内容、感情の動きや補足説明などを表現する方法として、Lineのスタンプはすごく便利です。スタンプはお金が掛かるものもありますが、使い方で文章を縮める事ができますし、感情部分の誤解を減らす効果もあります。表現方法としては平安時代に発明されたひらがなに匹敵する大きな進化だと思います。

いいスタンプは言葉の壁を越えて万国共通に使えます。文章や話し方の他にTextureも有効です。

Texture

握手をすると、その人の肌の感じが記憶に残ります。さらさらの手のひら、しっとりとした手のひら、かさかさの手のひら、柔らかな指、しなやかな指、等々。これまで出会った人や関わった人はたくさんいますが、私はそれぞれの握手の感触を思い出す事ができます。そうして確かな実感を積み重ねていく事で自分の中の何かが満たされていきます。選挙の時に有権者と手袋をして握手をしますが、これでは本当のTextureにはなりません。

Textureという言葉はモノの質感や手触りと言った意味で使われていますが、英和辞典で引くと『本質』という意味もあるようです。

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身体的接触は親愛の情をストレートに伝える良い方法ですが、冗談交じりに触れるのは愛情の表れと言えるでしょう。お酒の席などで、『君の手相を見てあげるよ』と言って女性に近づく男性などはまさしく親愛の情を深めたいと思っているはずです。

本当は相手の事が好きなのに正面切って言えない様な時、そのスキンシップの反応で相手の本心を知る事ができます。それだけで断定する事はできませんが、スキンシップがあった方がより親しく打ち解けた雰囲気になったと判断できるでしょう。恋愛ものの小説や映画のシーンは多くの場合その部分を表現しています。

コロナ禍の影響もあって握手はしにくい状況ですが、握手は相手のTextureを知る最良の方法ではないでしょうか。握手に限らず、自分にとって興味があるモノには直接触れてみましょう。場所でも、動物でも、作品でも、どんどん出かけて行って自分の目で見て、自分の耳で聞き、自分の肌でTextureを感じ取りましょう。

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