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フィリピン中継車の納入から3年後新古車の乙波があった

『フィリピンの中継車納入から3年後新古車の乙波があった』  2002年春

フィリピン向け中継車納入の3年後、10トントラック車台の納期が間に合わないと騒いで居た頃、車体架装の会社から既に架装が完成した新古車体があり17百万円のところ15百万円で譲ってもいいという乙波があった。現地購入となって没になったが、今まで買い手が付かなかったので同車台を特別に3百万円で如何かと言われた。

買い手を探したものの見つからなかったが興味があったので現物確認に千葉に行った。
一見して時代遅れの配色であったが、運転してみると自動車としての性能は十分なもので
あった。この時生まれて初めて大学生の時に取得した大型自動車の運転免許を活用できた。
そして悪い癖で2百万円なら買ってもいいと衝動的に口走ってしまった。

いざ購入してみて左ハンドルの10トントラック、値段は安かったとはいえ置き場所がない。
とりあえずドバイへ送ってしまおうと、100万円を使って自動車専用船でドバイへ転送した。
これでまた売り先の決まっていない3百万円の買い物をしたことになった。また買い手が
ついた場合は自前でAVシステムの設計と設置をしなければならない。

希少物件の現物という事もあり、見学希望者は多かった。移送して一年半の後シャルジャ
の印度人業者からナイジェリア向けに格安中継車の引き合いがあった。現状渡しの条件で
5百万円で乙波した。値切られて4.5百万円で話はまとまった。

この車台は新車の時に香港の会社から北朝鮮向けという事で、納入された10トントラック
を改装したものであった。車体の組み上げと配線が終わったところでキャンセルとなり、
半製品の状態で改装の会社が預かっていたもの。完成しないままで約10年が経っていた。

自動車は停車したままだとだとタイヤが変形してしまい、走行中に振動するようになると
言われたので月に一度出張時にテストドライブした。冷房が付いていなかったので少し暑
かったが大型トラックのドライブは楽しかった。

暫くしてTVニュースでこの車種が高速走行時に駆動シャフトが脱落する可能性ありとい
う大きな欠陥が公表された。メーカーに問い合わせると、製造番号から該当車と判明した。
修理部品の到着前に販売が決ってしまい客先から緊急出荷してほしいとの要請があったの
で事情を説明の上、現状のまま出荷した。


慣れない物を買うときは注意が必要だ。保管中のドライブだけでなく、メッキ部品に錆び
が出始めており、交換部品の取り寄せも検討し始めていた。ある時消防局の見回りがあり、
これは自動車だから倉庫内で保管できないとの事で倉庫後方のコンテナ駐車場に移動した。

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