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有意注意

意を持って意を注ぐ事。つまり目的を持って真剣に意識や神経を対象に集中させる事。例えば音がして、反射的にそちらを向く。これは無意識の生理反応ですから、無意注意です。

有意注意とはあらゆる状況の些細な事柄に対しても自分の意識を意図的に凝集し、抽象思考する事です。ただ漫然と対象を眺めているのでは有意注意にはなりません。

中村天風さんはこの意を持って意を注ぐ事の重要性を強調され、『有意注意の人生でないとだめだ』とまで言われています。NHKの番組で5歳のチコちゃんに質問されて答えられず『ボーと生きてんじゃねーよ』と叱られるのに似ています。

私達の集中力には限界がありますから、常に意識を一つのものに集めるのは難しいのですが、そうであるように心がけていると、だんだんこの有意注意が習慣化されて、物事の本質や核心がつかめ、的確な判断力が備わってきます。

カラーバス効果

自分が意識している事ほどそれに関係する情報が自分に舞い込んできます。カラーは色、バスは浴びるという意味です。ある色を意識すると、その色に関わる情報が急に眼に飛び込んでくるようになります。『今日のラッキーカラーは赤』という占いを見たらなんだかあちこちで赤い色が目に付くという経験があります。

これは色だけに限りません。例えば監視カメラの仕事をしていると、コンビニやスーパー、銀行、駐車場、そして電柱など、街の様々な場所にある防犯カメラが不思議なほど目に飛び込んできます。意識しなければ決して気付かない様な所で見つけて、驚く事もあります。

そんな風に目的を意識すれば自分の欲しい情報が自然と引き寄せられるようになります。それが『カラーバス効果』です。これを実体験するには『テーマを決めて歩く』というのがポイントです。何でもいいので問題意識を持つ事です。

漫然と『何か面白い事ないかな~』ではなく『うなぎ屋』『野良猫』など出来るだけ具体的な対象を選んでイメージする事です。何か一つのテーマに絞れたら、その事について考えながら歩いてみましょう。思わぬ発見、アイデア、発想が得られて街歩きが楽しくなります。

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リーダーとしての有意注意

『これは些細な事だからメンバーに任せよう』『これは大きなテーマだから自分で考えよう』という事をしていたのでは、『いざ鎌倉』という時つまり大変大事な事を自分で決めなければならない時に普段からの有意注意の習慣がないので考える事も決める事もできません。その為に失敗する事になってしまいます。

天風さんは『どんな小さな事でも全神経を集中して考える事を習慣にしなさい』とおっしゃいました。全員参加を経営に活用したい場合、経営者が『自分はこの判断に自信が無い。だから皆に協力してほしい。皆一緒に経営しよう』と言い、皆がそれに共鳴し、『それなら私もお手伝いしましょう。考えましょう』と言ってくれた時にメンバーひとりひとりが経営に対して意を注ぐ『有意注意』になります。つまり指示待ち族でなくなります。

話や相談事がある時は、部屋でもいいし事務所の隅っこでもいい。とにかく集中できるところで聞くのがいい。何かのついでにメンバーの報告をうけるという軽率な行動は禁じるべきです。集中力は思いの強さ、深さ、大きさから生み出されます。

今日のおにぎり

例が少し古いかも知れませんが、たとえば今日一日何人かで丸一日かけて古い雑誌の整理をするとしましょう。ある人が見つける『今日一日の中で大切な事』は20年前にある地方で作られていた懐かしい煮物のレシピかもしれません。別の人が見つける『今日一日で大切な事』は古い雑誌がさっぱりと片付いてきれいに整理された棚かもしれません。

また別の人が見つける『今日一日で大切な事』は一日中、一生懸命に働いた充実感かもしれません。人それぞれ違っていて当たり前です。一人になってから『今日一日の中で大切な事』を見付ければ『ああ、とてもいい日だった』と幸せを感じながら眠りにつく事ができます。

例えば仕事という『おにぎり』を握る事に夢中になっていて、その真ん中に入っているのが梅干しなのか、たらこなのか、ちょっとしょっぱいオカカなのかを忘れてしまうような一日はやめようという事です。

おにぎりですからたくさんのおかずは要りません。たとえ梅干しでも一つだけ『真ん中』があればそれで充分なのです。さあ、布団にはいって、目を閉じて、眠りに就く前に少しの間考えてみましょう。『あなたの今日のおにぎりには何が入っていましたか?

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