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気持ちが落ち込んだ時

大自然はその環境特有のリズムを生み出している。そしてそのリズムの及ぶ範囲にあるものは、全てそのリズムに同調するように作られている。唯一人間だけが思考によって自分独自のリズムを作り出す力を持っている。どの家庭にも、職場にも、どの町にも、通りにも他とはっきり区別できる独自のリズムがある。これをヒプノティック(催眠)・リズムという。これは39歳の時、悔いを残さない生き方をするにはリズムを変える事が必要と思い、脱サラをしようと決心した時のナポレオン・ヒル氏の著書『思考は現実化する』による教えです。

権力・成功・富について考える人間はそういったものを引き寄せるリズムを作り出す。習慣が思考のリズムを生み出し、そのリズムによって人間がいつも考えている内容が具体的なものになって引き寄せられる。ヒプノティック・リズムは磁石が同じような性質のものを引き寄せるのに似ている。

この事は一度成功した人間はみな意識的にしろ、無意識的にしろ、成功を期待しその実現を強く願う事によってヒプノティック・リズムが活動を始める。その強い願いが習慣となり、その習慣がまたヒプノティック・リズムを生み出し、結果として、同調するものは引き寄せられるという『引き寄せの法則』により願いが現実のものとなります。

人生には順境と逆境があり、逆境の時は節です。過去を振り返ってみて一番多くの事を学んだのは逆境の時です。5年あるいは10年経った時に一番懐かしい時期として思い出されるのは逆境の時です。逆境の時は『今は節を作っているのだ』という気持ちを持って次の成長を歩みましょう。

家の焼却炉の近くに木が生えている。その木は熱に焼かれてすぐ枯れてしまうかと思いきや、枯れなくてグングンと強くなっていきました。そして、他の木が枯れてもその木は成長し続けました。木の成長にとっては近くでゴミを焼かれるのは相当過酷な環境なはずですが、それでもその環境下で成長した部分が年輪になって刻まれ、幹も太くなり生命力に溢れている。ところが、土が柔らかく日当たりがいい、一番いい所に生えていた木が、台風などの強風で簡単に倒れてしまいます。

これを人生に当てはめてみると、一見極めて環境の悪いところに育って、不遇の中に力をつけてきた人がそう簡単にへこたれない力を持っていて,艱難に強い性格をつくり、色々な所を切り抜けていき、大きな人物になっていくのではないかと思います。

私達すべての人間には勝ち組遺伝子が組み込まれています。それは数億匹の競争相手である他の精子に勝って自分が受精の栄冠を勝ち取ったわけですから全ての人間に共通しています。ただしその勝ち組遺伝子が活性化するには、感情が明るくて脳がポジティブになっている事が必要です。つまり脳が考える力を持ってワクワクした気持ちで仕事に取り組む事が必要です。落ち込んでいる時は脳が働かず思考停止になっている事が多い。

まず行動する

感情を明るく保つためにはまず動いてみる事です。動けば、イヤでも気持ちが外に向きます。犬も歩けば棒に当たるのですから、人間が外に出たり、後回しにしていた用事を片付けたり、本棚の整理をするだけで様々なものと出会います。商店街を散歩すると『そうだ、スリッパを買いたかったんだ』と思い出し、ホームセンターに入れば『ついでにカーテンも替えたいな』と気づきます。やる事がどんどん増えてきて、気持ちが外に向きます。

すると、仮に嫌な感情が残っていてもそれを見つめる時間がなくなります。感情は放っておけば収まるのですから、動いているうちに気分がスッキリしてきます。『でも落ち込んでいる時とか心配事がある時は、そんな気持ちになれない』などと言っていると堂々巡りになってしまいます。状況はなにも変わりません。

せめて明るい気持ちを取り戻す事くらい、やろうと思えばいつでもできる事だと気づくべきです。行動を変えるのは簡単に実行できる事ですから、試しに動いてみるだけでもいいのです。普段から明るい感情を保っている人は根が陽気だとか、楽観的な性格に見えますが、他人の性格に目を向けてもしかたありません。『私とは違うから』で終わってしまいます。

そうではなく、そういう人たちの行動パターンに注目しましょう。明るい感情を保っている人は天気がいいのにあるいはやる事がいくつもあるのに難しい顔をして座り込んでいないはずです。『やらないよりまし』という判断は殆どのケースに当てはまります。そこでもし『でもこんな事やったって』とか『その場しのぎじゃないのか』と考える人がいるとすれば、その人は勘違いをしています。

その場しのぎでも何でも、やらないよりましな事があったらどんどん動いて実行すれば、少しずつ解決に近づいていくからです。『まし』『まし』の積み重ねが難しい局面を動かしたり、物事をいい方向に向かわせることになります。

例えば仕事がうまく思い通りにいかない時には、細かい作業の積み重ねが無駄な努力のように感じます。『あと30分で昼休みだ、どうせろくな仕事はできないな』と思えば、午後の段取りを考えたり一気に片付ける方法はないかと頭を働かせたりしません。それにより30分でできたはずの作業がまた午後に持ち越され、遅れが更に大きくなる事を忘れてしまうのです。しかも動かないのですから、モチベーションは低下したままです。午後になってもまたダラダラと仕事に向かう事になります。

『やらないよりまし』と考えれば全て違ってきます。『30分でできる事だけやっておこう。やらないよりましだから』そう気持ちを切り替えて『まし』な事を実行できる人は少しずつでも遅れを取り戻す事ができます。

うまく行かなかった時は

何をする時でもうまく行くかどうかはやってみなければ分かりません。でも、どんな人でもうまく行く事を期待します。『たぶん失敗するだろう』という気持ちで挑戦する人でも、実は5∼10%の成功確率を想定しています。『可能性ゼロではないんだから、とにかくベストを尽くしてみよう』と考えるはずです。そういう時は失敗しても大きなダメージは受けません。

『やっぱりダメだったか』と思うし、『でも意外といい線までいったぞ。次は可能性ある』とやる気が出ます。では逆の場合はどうでしょう。

『まあ、これなら90%以上の確率で成功するだろう。普段の力さえ出せば何も問題ないはずだ』そう思っていた事が失敗する事があります。そうなればどんな人でもショックを受けるし、中にはパニックを起こす人もいるでしょう。『こんなバカな事があるか』と怒り狂う人、『もうダメだ』と放心状態に陥る人、『あいつのせいだ!』と他人を恨む人。様々です。

その時この人の頭には『絶対うまく行くはずだったのに』という思い込みが生まれています。90%の確率なら10%、つまり10回に1回は失敗する可能性があった事を忘れているのです。でも冷静に考えるとどんな時でも10分の1の確率で失敗する可能性があるという事です。それにたまたま巡り合っただけですから、『こういう事もある』と受け止めるしかありません。10分のⅠの失敗を恐れて何もしない人は90%の可能性を捨てる事になります。こちらのほうがもったいない。

ともかく動いてみて悪い結果が出たらどうするか。どうもしません。『ともかく』の答えが出ただけですから『ひとまず』受け止めるだけです。イヤな感情に捕まり易い人は、ひとつの結果が出ると、それをまともに受け止める傾向があります。例えば何か頼み事をした相手が『今回はちょっと』と申し訳なさそうな顔をすると『もうこの人は私の頼み事なんか聞いてくれない』と決めつけたがります。

友人を食事に誘って、断られただけで『もともと考え方が違う人間だったから』と納得してしまいます。飛躍が起こるのです。友人にしてみれば『何よ、それ?!』です。『今日は都合悪いって言ってるだけじゃないの』と呆れてしまうのです。『せっかく誘ってもらったのに悪いけど、先約があるのでしかたないなあ。次は私から誘ってあげよう』と思っているかもしれないのに、勝手に縁を切ろうとするのですから、『どうぞお好きに』となってしまいます。

これでは悪い結果が出るたびに、それも些細なやり取りの結果が出る度に人間関係がこじれたり、不信感が強まったり、あるいは『動かない方が良い』という変な納得が生まれてしまいます。『下手に動くと決まって悪い結果が出るから』と考えてしまうのです。結果は一時的なものです。

そして『ともかく』動いてみた結果は『ひとまず』の結果です。外に出かけたらすぐに雨が降ってきた。ひとまず雨宿り。電話したら断られた。ひとまず諦める。そこからまた先も同じ事の繰り返しです。楽しい展開になったらひとまず、その楽しさを満喫しましょう。退屈してきたらひとまず切り上げればいいし、どんどん盛り上がるようだったら流れにまかせていいのです。

大学生の頃、授業の空き時間に英語会話の勉強に京都の竜安寺や金閣寺などの観光寺院に行き、外国人を見つけては話しかけた。成功の確率は50%くらいだったと思うが、会話力は短期間に上達した。また誰にでも気軽に話しかける事ができるという能力を得た。

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