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個別に育てる

人材育成

中国の三国志で諸葛孔明といえば天才的な軍師として有名ですが、自分がトップになった後でも全ての指示を自分がしなければ気が済まないという弱点があったようです。それまで人材が豊富と言われていた蜀の国ですが、孔明さんがトップになってから人材がいないと言われるようになったのは、部下を育てる事が苦手であった事によるものらしいです。

個人として優秀過ぎる人の泣き所かもしれません。『泣いて馬謖を切る』という話がありますが、本来優秀であった馬謖を切らなくてはならない羽目になったのはこの部分が原因であったようです。

個別に育てる

経営の格言に『平均値でモノを見ない』というのがあります。これはそのまま人材育成にも当てはまります。特にリーダーが人材育成を考える時、最初に知っておくべきは『平均値で人を見ない』という事です。

マネージメントが下手な会社ほど、社員を平等に扱います。正確には『悪平等』です。トップランナーも含めて同じように『管理』しようとします。お客様第一の小さな行動を徹底させるのは平均的な社員をスーパーマンに育てる為のものであり、基礎力が十分で、自発的に良い仕事をどんどん工夫してできる人にはある意味、規律を守らせながら『自由』にやらせるべきです。

上位・中位・下位の三段階に分けて育成方法を変える会社もありますが、理想的には一人ずつ各自に合った指導法があるべきです。

強い会社の事業の定義の一つは他社との差別化ができている事です。強みを圧倒的な強みにしていった時、会社は飛躍的に伸びます。これは人についても同じです。我が国の企業では伝統的にオールラウンドプレーヤを育てようとします。

その方が部下の入れ替えが簡単で上司が管理し易い。つまり気に入らなければいつでも取り換えが効く状態にしておきたいという事に加え、全ての人をオールラウンドプレーヤに育てなければいけないという思い込みがあるかのようです。

これは個人のそれぞれの強みを見付けて特にその部分を育てていく方向に変えるべきです。理由は二つあります。第一にチームとしてとらえれば、各人の強みを持ち寄る方が、全員に平均点を取らせるよりも圧倒的に強い組織を作れるからです。ホームランバッターも確実にバントができる人も両方必要です。

もう一つの理由として人は欠点を補うように指摘されるより、強みを使ってもらった方が伸び易いからです。各人の強みをうまく配置して使う事が『適材適所』で、それはリーダーとしての第一の仕事です。

『褒める』と『性善説』

会社は自分達にしかできない強みを伸ばす事によって、よりお客様に喜ばれ、社会に貢献できます。働く人も個々の強みが生かされていると感じる時、自然にモチベーションは上がります。

個々の強みを生かすには人の長所を見つける事が大事です。長所を見付けられれば、心からそこを褒める事ができます。ところがよく聞くのは『どこを褒めたらいいのか分からない人材が多い』という声です。これは愚痴です。それは『自分には人の悪い所しか目に入らない、自分は性悪説の人間だ』という事を公表しているのと同じです。

前向きな人は人の良い所を見ます。そして良い所を見付けたらそれを褒めます。人の良い所を見つけられるのも能力です。これはその人の姿勢の問題とも言えます。人には好い所が必ずあります。部下も子供もよい所を見つけて褒めると必ず育ちます。

『メンバーを心から褒められるか』というのは『人には必ず良い所、学ぶべき所がある』と考える素直さ、謙虚さを持っているかどうかの問題です。ある成功した人が『どんな本を読んでも必ず勉強になる所がある』と言っていますが、それと同じです。もちろん全体としてつまらない部類に入る本もたくさんあります。

同じように、優秀と言えない社員もたくさんいることでしょう。けれども、そんな人たちからでも何か学べるところがあるのではないか、どこか良い所があるのではないか、と性善説で考えてそこを見ようとする人には何かしら得るものがあります。話を聴く態度にも同じ事が言えます。立派な人ほど熱心に聴こうとします。

最初から、つまらない本だ。分かり切った話だ。著者は自分より劣った人間だ。というような上からの目線で人や物を見る人には見えてこないものが見えてきます。

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