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読書

岡本裕一朗著『哲学の名著50冊が1冊でざっと学べる』(KADOKAWA/2020)を読みました。帯に「知の巨人たちの"本物の教養"が一気につかめる!」と書かれています。でも、体裁が極めていかがわしい。果たしてこれを、読書と言ってよいのか……(あまりにいかがわしいので、表紙画像は割愛)。

しかし、読んでみると、確かに50冊、というより約50人の哲学者それぞれの、哲学のキモが簡単明瞭に説明されていて、この要約力はすごいなぁと思いました。もちろん分量的に、何も中身を説明しておらず、電車内の週刊誌の広告ほどの情報量しかありませんが、僕の頭脳のレベルにはぴったりでした(図解も嬉しい)。これを見ると、僕はチャールズ・テイラーを読むべきだと思いますが、たぶん挫折するので、入門書を探します。

さて、アートにとって哲学とは何なのでしょう。それは、アーティスト個人の問題でOKですよね。でも、美術が模倣から解放されて、現代美術になって、アートは哲学になったとも言えます。つまり、現代美術の必要条件に「美術ってそもそもなんだっけ?」という問いが常に存在しているのではないか。その「そもそも」を問うのが哲学です。

ちなみに、ダントーによるアートの定義を、勝手に要約すると、こんな感じです。

1)1つのテーマを持つ。
2)スタイルがある。
3)隠喩的省略がされている。
4)美術史の文脈がある。

この4番目の美術史の文脈が、哲学を求めているのですかね。でも、この定義は制度的なものなので、一つの見方に過ぎないかもわかりません。

この本のラストは、マルクス・ガブリエルの『なぜ世界は存在しないのか』の紹介です。これは読んだのですが、この本の内容は、僕の感覚にすごく近い気がします。僕は作品の感想も作品の一部だと思う派です。つまり、作品の感想も、記録も、記憶も、それが現象している意味の場において、実在していると言っても良いのではと思います(記憶も含まれているのがキモです)。

それって、デジタルの時代を肯定していますよね。僕がインスタグラムで、せっせと認知を増やしているのは、そういうことか?

#アートの思考過程

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