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12月になりましたか…。

12月になりましたか…。11月はP20号を3点制作しました。少し描き方を変えているので、以前よりはペースが遅くなっています。

さて最近、金悠美著『美学と現代美術の距離、アメリカにおけるその乖離と接近をめぐって』(東信堂2004)を読みました。これは博士論文らしいのですが、いまだに類書がないっぽいので、貴重な本だと思います(あったらごめんなさい)。内容はアメリカの美学界の変遷で、大変興味深いものです。一口に美学と言えども一様ではないと、薄々わかっていましたが、実際にどうなのかはよくわからない。それをアメリカの事情だけでも分かったのはラッキーでした。

僕の理解でざっくり言えば、アメリカは美術新興国なので、何かヨーロッパに対抗するものを生み出したかった。その頃のヨーロッパは、フォーマリスティックなキュビズムや抽象芸術、それにダダ、シュルレアリスムに代表される反芸術など、非日常のアートが主流です。そこで、アメリカで影響力を発揮したのが、プラグマティズム美学のデューイです。つまり経験主義の系譜の美学です。そして、美学とは芸術哲学のことですが、彼らは美学を哲学から独立させようと考えていたそうです。
ところが、本家の哲学で分析哲学が一世を風靡すると、その影響でプラグマティズム美学も分析美学に押されることになり、せっかく勢いのあった美学は哲学の一分野に逆戻りして、以来美術と美学の距離は離れてしまったということです。

しかし、そこに登場したのが、アーサー・ダントーです。彼は分析哲学者でしたが、ヘーゲルを導入して美学の美術への最接近を図ります(withデューイ再評価)。ここはポイントっぽいですが、残念ながら僕はヘーゲルを理解していないので、へぇー(棒読)という感じです。
グリーンバーグは、分析美学との違いはあれど、共通点があり、逆にデューイとはすごく遠いので、あの時代にあのポジションにいたのでしょうか。

まあ、たぶんこんな要約では何のこっちゃ、と言う感じですから、詳しくは本書をお読みください(これを書いているのは、自分の理解を深めるためでもあります)。

で、この本は15年以上前のものなので、今はどうなの?と言いたいところですが、類書がないので不明です。ただ、最近は美学と言えば分析美学。プラグマティズム美学なんて聞かないので、推して知るべしと言うところでしょうか(全て個人の感想です)。ふぅ。やっぱダントーとか読まないとだめなのかなぁ……。

#アートの思考過程


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