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『脱近代宣言』

清水高志・落合陽一・上妻世海、鼎談本『脱近代宣言』(水声社・2018年刊)を読みました。たぶん上妻さんは一番近い領域の方ですけれど、Facebookの「知り合いかも」で表示される子供達と戯れる画像以外のことは、不勉強で知りません。清水さんは一年ぐらい前にTwitterをフォローしたのですが、代表作の『実存への殺到』ですら難しそうなので、積読状態です。

そして、落合陽一さんの存在を知ったのは2016年の初めぐらいでしょうか。ニコ生の講義版『魔法の世紀』はアーカイブで観ました。これはメディア史がメインだったのでよくわかり、おもろい人が現れたなぁという感じでした。次の講義『デジタルネイチャーと幸福な全体主義』は毎月リアルタイムで観ていましたが、繰り返し観ないと内容が理解できない感じでした。というように、メディア上でその発言を追いながら今に至ります。ただ、アーティストという認識はほぼなくて、好きなのは研究者としての存在の面白さです。たぶん、未来をこんなに明確に語る人は他にいないから観てしまうんでしょうか。

しかし、落合陽一的世界を自分の世界と接続しようとしても、上手く繋がらないんですよね。そこでこの本です。『脱近代宣言』は落合陽一的世界を哲学者の清水さんと、キュレーターの上妻さんが哲学と美術の言葉に翻訳しています。ありがとうこの出版を企画してくれた人! でも、万人にわかりやすいとは言いませんが。

僕が美術作品の制作を再開したのが2017年の初めなので「マイブームは落合陽一です」の時期でした。だから今の作品スタイルを模索している時に、無意識に影響を受けているのは間違い無くて、本の内容にも全面同意です。ただし、鼎談なので論証を加えながら話が進むわけではないので、わかりにくいところもあります。例えば、美術をやっている人間として一番ドキッとするワード『文脈のゲームの終わり』は、どんな形の『ポスト現代美術』になるのかならないのか、大変気になります。個人的には、18世紀に細分化したカテゴリーの境界が溶けていくイメージのですが、どうなんでしょう…。

amazonに卸していないので、入手が容易ではない本ですが、おススメです。

さて、もう一回、読み直そうかなぁ。

#アートの思考過程

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