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雑感。

最近の、マーケターの森岡毅さんの記事で、面白いトピックがあったので、その話を。要約するのが面倒なので、長いですが、引用しますと、

「射撃の先生から受けたアドバイスは、「的よりもっと遠くの『無限の中心』を狙って撃つ」こと。的の向こうの無限に向かって正しく撃つと、結果的に当たるようになるんです。当てるんじゃない、当たるんです。

これは、マーケターの仕事にも通じるものがありますよね。見えやすい機能便益・感情便益、言い換えれば「なぜその商品・サービスを買うのか」について消費者自身が口にできるようなことを狙っても、なかなかど真ん中には当たらない。

しかし、便益の奥にある「本能の重心」を狙うと、コンセプトもブランドのデザインも当たるんじゃないか。お金がなくても、本能さえぶっ刺せれば、私たちのマーケティングは結果的に当たる。私はそう考えているんです。」

ビジネスパーソンに影響されるのは、僕の俗な属性ですが、美術もビジネスも人間の営みなので、無関係ということは、あり得ないんじゃないかと、僕は思います。

で、この「無限の中心」、「本能の重心」というのは、僕の感覚とドンピシャなんです。現代美術は西洋美術だから、西洋を理解しなければ美術の「無限の中心」を貫く表現はできない。だから、西洋を作った、歴史や哲学は現代美術に必須だと思うわけです。

そして西洋の「本能の重心」には、いま私たちが住んでいる、近代の社会システムを作り出した、植民地主義(とその克服)があると思います。僕の実感する現代美術は、そういう生々しさと地続きです。

このあたりは、僕の個人的な(柔道における)「引手」の一つです。まあ、人間なので、便益の誘惑には、抵抗し難いところはありますが。そこは、前衛の矜持が試されるところですね。

#アートの思考過程

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